【note 田邉常勤監査等委員インタビュー】
「この仕事をずっと続けたい」 監査役という職務が変えた私の人生観

note株式会社
常勤監査等委員 田邉 美智子

2020年にnote株式会社の常勤監査等委員に就任された田邉さん。
自分主導で創意工夫できる監査役の仕事は想像以上に面白く、長くこの仕事を続けるために体力作りも始めたほどだそうです。
そんな監査役の魅力について語ってくださいました。

最終更新日 2023.10.31
※役職はインタビュー実施日現在のものです。

IPO支援経験を積み重ねた監査法人時代

キャリアのスタートは監査法人だそうですね。どのような業務に携わっていたのですか。

2003年に監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)に入所しました。
主にベンチャー企業のお客様を相手に、IPO支援の案件に多く従事していました。
上場後も継続して法定監査に携わりつつ、更に当時の東証一部上場を目指していくようなところも見ておりましたので、小規模企業から売上高100億規模の大企業まで、様々な会社とお付き合いさせていただきました。
上場後も、自分の関わった企業の成長を見続けられることが醍醐味でした。

監査法人でのIPO支援業務はご自身で志望されたのですか。

はい。もともとIPO支援に携わりたいという志望動機があったのでその部署へ配属いただきました。
やはりベンチャーのような小規模企業ですと、経営陣の近くに入って密にやり取りさせていただけることが魅力的でしたし、様々な経営陣の考え方を近くで感じる事が出来て多くの学びがありました。
私が入所した頃はITバブルの終わりの方で、配属されてすぐに何件ものIPO実現を目の当たりにし、またIPO案件も多くありました。
多くのIPO案件の中でも実際IPOが実現するのはごく少数の会社様であり、その難しさも同時に実感していました。

先輩方から教えてもらった監査役という選択肢

2019年に他社で初めて監査役になられていますが、どのようなきっかけだったのでしょうか。

監査法人での仕事は非常に面白く、やりがいもあり、一緒に働いていた方々も魅力的だったのですが、結婚と出産を経て、子育てしながら働くことが苦しくなってしまった時期がありました。
当時は現場に行くのが当たり前でしたから、時短勤務で早く現場を出たり、子どもの病気で数日休まなければならなかったりと、思うように働けないことへのジレンマがありました。
また、頑張りすぎて体調を崩してしまった事も起因して、このままここに居て良いのだろうかと思い悩んだりもしていました。
そんな時に、トーマツの一つ上の先輩で、退職後に監査役になられた女性に話を聞く機会がありました。

監査役の先輩からお話を聞いて、いかがでしたか。

監査法人時代は仕事第一のように見えていた先輩だったのですが、「監査役になってからは子育てとの両立も実現できている」とおっしゃっていたので、こんな選択肢があったのかと驚きました。
また、以前こちらのインタビューにも掲載された横山 敬子さん(現株式会社nobitel常勤監査役ほか)はトーマツの同期なのですが、先に退職して監査役になられていたので、彼女からも何度も話を聞きました。
必要なスキルや、どんな時間帯で働いているのかなど、リアルな情報をいろいろと聞くことができたので不安が解消され、自分が監査役として働いているイメージを持てました。

正にこのインタビュー記事は、先輩監査役のリアルな働き方を知っていただくために作っているのですが、それを実践されていたのですね。

そうですね。実際に監査役として働いている方にお話を聞くと不安も払拭できますし、自分が監査役になった後のイメージもしやすくなると思います。
監査役という職務は具体的に何をすべきなのかイメージしづらいですし、会社やその人の考え方によって何をするかが異なる職種でもあるので、自分だったら何ができるのかという不安がありました。
女性会計士監査役の勉強会があることなども横山さんから教えていただき、「そこで色々な相談が出来るし、皆さん同じような不安を持ちつつも解消しながら取り組まれているから大丈夫」と助言をいただき、心強かったです。
その後、知人からの紹介で、初めての監査役に就任することになりました。

「この会社を上場させたい」事業に惚れ込んだnoteの面接

実際に監査役に就任されて、いかがでしたか。

働き方の自由度が増したように思います。
自分で何をすべきか考え、自分で時期を決めて、自分で作業するという風に組み立てられるので、時間的な裁量を持ちながら仕事が出来るようになりました。
そのため、子育てとの両立もストレスなくできています。
現在のnoteの環境について言うとリモートワークと出社を状況に応じて選択できますし、子育て中の社員が多いこともあり、保護者会などへの参加に対する社内の皆さんの目も優しいように感じます。

noteへはどのようにして入られたのですか。

会計士の知り合いの方からの紹介でした。
その後のIPO(※)を見据えて常勤の監査等委員を登用する必要があり、女性の会計士を探していたと聞きました。
※2022年12月、東証グロース市場に上場

CEOの加藤さん、CFOの鹿島さんと面接した際に、お二人と非常に気持ちよく話すことができ、経営陣と近い距離でやっていけるだろうと思いました。
また、面接では事業内容についてご説明いただいたのですが、非常にクリエイティブで新しい発想を持つ、成長性のある事業だとも感じました。
監査法人時代のIPOの経験からも、この事業は上場出来そうだという感覚を持ちましたし、このような会社で自分も一緒に事業の成長に関わっていけたらいいなとも思いました。

就任はコロナ禍の始まる2020年2月だったのですね。苦労されたことはありましたか。

はい。noteの監査等委員に就いた途端に新型コロナウィルスによる緊急事態宣言が発令されて、リモートワークを余儀なくされたというスタートでした。
周囲の方の顔と名前が一致せず、資料の在りかも分からない状態でしたので、監査の環境を組み立てていくことには少々難儀しました。
例えば、通常どんな会議が社内で行われていて、どの会議に参加すれば欲しい情報を入手できるかが分からないといったようなことです。
こういった点はCFOの方にサポートいただきながら、徐々にアクセスしたい資料への権限を付与いただいたりして整えていました。その時の協力体制は非常に有難かったです。

最も会社に近い立場で自ら考え、柔軟に策を講じられる、常勤監査役ならではの面白さ

常勤監査役(等委員)としての醍醐味をどのようなところに感じますか。

常勤監査役は、会社の内部にいながらも第三者的な立場で会社を見ていくという点で、ガバナンスの最後の砦としての自負があります。
会社がどんどん成長してステージが変わっていく中では重大な意思決定も多くありますので、その際に検討不足がないように、また株主などステークホルダーにリスクが発生しないように、最も会社に近い立場で自分が考えて守っていけるというのが、常勤監査役の醍醐味だと思います。
社内で起きている事象について、自分が常にアンテナを張っていなければガバナンスも弱くなってしまうという意味で、緊張感はありますが影響力もある職務です。

実務の楽しさというのはあるのでしょうか。

監査法人時代は、会社外部の立場から顧客企業が作成した数値や資料を確認することがメインの仕事でしたが、常勤監査役は会社内部の立場で会社にリスクが発生しないような統制を考えることができる立場です。
どのような統制が必要かを自ら考え、その策を組み立てて先手を打っていくことに楽しさを感じています。

また、一度構築した統制であっても、会社の成長のステージに合わせて再度協議を重ねて変えていく工程も非常に楽しいです。
特にベンチャーの監査役となると、加入当初は社内の様々な仕組みや統制が出来上がっていないことが当たり前ですから、それを何とかしていくという創意工夫の面白さがありますね。
「こうでなければならない、あれもこれもできていない…」という思考を置いて、柔軟な頭で臨む必要があると思います。

監査役という職務に出合って芽生えた新しい目標と、変わった健康への意識

今後どのようにお仕事をしていきたいかなど、お考えはありますか。

私は監査役の道に進むのが少々遅かったこともあり、これから経験値を上げてスキルを磨いていきたいと考えています。
監査役としての経験年数の多い方は、やはりお持ちのスキルや判断力が違うと感じることがあります。
大規模投資など様々な重大な意思決定を経験することで監査役としての観点も増え、類似の案件が発生した時にその経験から意思決定のための有益なアドバイスを生み出せると思います。
現在、グロース市場の会社としてはnoteともう一社を非常勤として見ているので、そこでも上場会社のガバナンスというものをしっかり学び、監査役としての経験値を上げていきたいです。
noteの会社としての成長性に合わせて、私自身も監査役として相応しい人材に成長していきたいですね。

これから常勤監査役を目指す女性にメッセージをお願いします。

女性は、結婚、出産、子どもの受験など人生のターニングポイントが多く、自分のキャリアや人生を見つめ直す機会があります。
そんな時に、私のように会計士のバックグラウンドがある人にとっては、監査の経験が活きる監査役は適任だと思います。

実際のところ、私自身も監査役を始めてみると非常に楽しく、できるだけ長くこの職業を続けたいと思うようになりました。
以前は体力面に自信がなかったのですが、長く働きたいという想いから健康への意識が変わり運動を始めたりしているくらいです。
やはり上場企業の監査役として自分もどんどん成長したいという、目指すべき道が見えてきたことで意識が変わったのだと思います。
自分で考え、自分で動き、自分で結論づけるというすべて自分主導で仕事が出来るというところに責任を感じる職務ではありますが、その作業自体も考える過程も本当に楽しいです。

監査役になったら、監査法人の立場で会社を外部から見るのとは違った景色が見えてきますし、そのように新しい視点を得られること自体が刺激的です。
きっとやりがいを感じられると思いますよ。

       

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