【Unipos 小椋常勤監査役インタビュー】
監査役の可能性は無限大 ~経営に投じる第三者的視点の重要性とは~

Unipos株式会社
常勤監査役 小椋 明子

監査役として活躍される中で、広告業界から会計士への転身、仕事や育児で悩んだ経験など、これまでのすべてが役立っているという小椋さん。
専門領域にとどまらない、監査役という職務が持つ広い可能性について伺いました。

最終更新日 2024.4.15
※役職はインタビュー実施日現在のものです。

広告業界から会計士の道へ

キャリアのスタートは、一般事業会社と伺いました。

はい。大学を卒業した後に広告制作会社で3年ほど勤めました。
その時はまだ会計士ではなく、営業から撮影の進行管理、カメラマンのスケジュール調整や、広告代理店とのやり取り、撮影のディレクションのようなことまで、いろいろと担当していました。

では、働きながら会計士の勉強をされたのですか。

その会社にいるときに勉強を始めて、辞めて2年くらいで資格を取りました。
広告業界の仕事は面白かったのですが、やはり激務で夜中から打ち合わせが始まって撮影が終わるのは朝、というような生活を繰り返していたんです。
これをずっと続けるのは難しいかなと思い、ワークライフバランスの改善を考えたことがきっかけでした。
税理士の父にも相談したところ、何か資格を取るといいのではないかということになり、会計士を目指しました。

会計士にはもともとご興味があったのですか。

営業の仕事の中でも数字が好きで、見積書を作ることも好きでした。
初めは初歩の会計から興味を持ち、少しずつ勉強していくとやはり自分に合っているなと思ったので、資格取得まで進むことにしました。
また、私が小さな頃は税理士の父が習い事の送り迎えなどをしてくれていたこともあり、士業だと仕事の環境と住む環境が近く、フレキシブルに働くことができるイメージを持っていました。
自分で自分の好きなように時間を使いたいというのも、会計士を選んだ理由の一つです。

資格取得後は、監査法人に入られたのですね。

はい。有限責任監査法人トーマツに入所し、主に大企業のIFRS(国際財務報告基準)監査を担当していました。そちらと並行して小規模企業の監査やマネジメント業務なども担当させていただきながら10年くらい勤めました。
監査法人の仕事はチームで動くことが多く、締め切りに向けてみんなで仕事をするという一体感がとても好きでした。
ほかにも、トーマツのコンサルティング部門で推進していた、社内に試験的に企業主導型保育園を作るというプロジェクトに参画しました。
保育園不足の解消や、子育てをしながらも働きやすい環境を提供するためのプロジェクトで、それまでの監査の仕事が過去の数字の確からしさについて意見表明をするものだったのに対し、こちらは未来の数字を見て、それに基づき計画し予測するというもので、自分にとっては興味深く新鮮な仕事でした。
監査もコンサルティングも、どちらも面白かったですね。

「この方々と働きたい」監査役への転身

監査役への転身のきっかけはどのようなことだったのでしょうか。

私はトーマツにいる時に子どもを2人産んでいるのですが、2人目の育休明けの頃に外の世界にも興味が湧いて、エージェントに登録してみたことがきっかけでした。
何かの本で、履歴書を自分で書き出してみると、自分に足りない部分や、これから目指す方向性が可視化されるというのを読んで、どちらかというとそれを実践してみることが目的だったんです。
ですが、エージェントからお声がけいただいて、Uniposの監査役の方と面談し、しばらく後に社長・副社長と面談をし、その日に入社を決めました。
話をしてみて、直感的に「この方々と働いてみたい」と思いました。

転職活動は1社だけでUniposさんへの就任を決めたのですね。

はい、1社だけでした。
面談をした2019年末の時点では(常勤監査役就任は2020年7月)、Fringe81という社名で既存のインターネット広告事業を主力としており、現在の主力事業であるUniposはまだ発展途上だったんです。
面談に先立って財務諸表を見ていたのですが、やはりこれまで見てきた大企業の安定したそれとは違い、スタートアップ特有の、研究開発費やマーケティングなどにアグレッシブに投資している状況が見て取れました。

Uniposには「Be an Explorer」(探検家たれ)というイデオロギーがあるのですが、面談の際に社長自ら、そういった会社のチャレンジングなカルチャーをどのように作ってきたかや、今後の事業をこんなふうにやってきたいといった熱い思いを語ってくれました。
数字だけを見るとこれからどうなっていくのかという気持ちはあったものの、社長の熱い思いに共感し、私も一緒にチャレンジしていきたいと思い、就任を決めました。

これまでのすべての経験が価値を生む、監査役の醍醐味

実際に就任されて、いかがでしたか。

Be an Explorerというカルチャーや会社の勢いの良さは、やはり強く感じます。
また、Uniposの事業(※)は、感謝・称賛のメッセージを通じてこれまで見えなかった行動を可視化して人と組織の力を引き出すサービスを提供している会社というだけあって、経営者が一番に人のこと考えていると感じます。
その点については、様々な議論の中でも「こんなに人の話をするのか!」と驚くほどです。

※Uniposは、従業員同士が「感謝・称賛の言葉」+「ピアボーナス®」をWeb上で送り合うことで企業のカルチャー変革を実現するプロダクトとサービスを提供。

監査役の仕事についていえば、当初は、内部統制や財務諸表などに関する会計士としての専門領域だけが自分の価値を生むのだろうと思っていたのですが、そうではありませんでした。
今は、会計面に限らず、私のこれまでの経験すべてが価値を生むと感じています。
というのも、本当の私の役目というのは、業務を執行していない第三者だからこそ言える素朴な疑問や、一般的な視点をいかに投じるかということだと気づいたからです。
子どもを産んで働いて、母親として家庭内でのコミュニケーションに試行錯誤をしたり、一従業員としてチームメイトとのコミュニケーションに悩んだり、趣味などの仕事とは一見すると関係のない色々なことにアンテナを張ってきたりしたことが、意外と価値になると考えています。

監査役の仕事の領域は広いのですね。

そうですね。監査役に限ったことではなく役員という視点になりますが、以前、ほかの取締役の方が投げかけた素朴な疑問をきっかけに意思決定が進んだということがありました。
その現場を見て、各役員が、それぞれの経験に裏付けされた上での疑問を自分の意見として投じることが本当に重要なのだと思いました。
私もそうですが、どの役員も根本的には、会社を良くしていく一員で、良い未来を見たいと強く願っているからこそ、自然とそういう振る舞いになるのだと思います。
ですから、監査役だからといって自分のできることに線引きをしないで、会社を良くするために必要なことをするという自然な発想が大事なのではないでしょうか。

社内ではどのようにコミュニケーションを取られているのでしょうか。

現在会社の従業員数は130名くらいで、ほぼ全員とコミュニケーションを取っています。
監査の実施に当たっては、やはり独立性を持たなければならないので、監査役然として振舞いますが、そうではなく「私も1人のメンバーです」というふうにコミュニケーションを取ることもあり、その2つは意識的に分けて、今はどちらの立場なのかを周囲にも伝えるようにしています。

基本的な業務においては私も会社の一メンバーであり、みんなと同じ立場でありたいと考えているのですが、従業員の方の相談を受けたり、社外から意見を求められたりするような側面においては、やはり監査役としての自分を使い分けるようにしています。
「事実」「情報」「感情」を切り分けてコミュニケーションを取るということには、常に気をつけていますね。

「サポーターを作ってきちんと頼る」仕事と子育ての両立の秘訣

お子さんが2人いらっしゃるとのことでしたが、仕事と子育てとの両立はどのようにされていますか。

現在8歳と5歳の男の子が2人いますが、子育てという点では、夫が非常に協力的なので助かっています。
また、内にも外にも、できないことはできないとはっきりと伝えてどうしたらできるかを一緒に考えてもらうようにしています。
例えば、仕事でも「これ以降の時間は子どものことがあるからこの時間はどうでしょうか?」とか、家でも「ここからはママはお仕事があるから手伝ってね」と話して、会社でも家でもサポーターを作っています。

サポーターをうまく作ることが秘訣なのですね。

そうですね。できないことはできないと伝えて、手伝ってほしいとお願いして、頼っています。
あれもこれも自分でやらなきゃというタイプではないですし、家族も仕事もチームで助け合うことが大切と思っています。
働いている時も子どもといる時も私の時間という意識でいるので、あまりメリハリをつけずに自然に過ごしていますね。
父がしていたように自分で時間を管理して働くということが、監査役になったことで本当に実現できています。

海外生活とリモート監査役への挑戦

今後、どのようにお仕事をしていきたいとお考えですか。

実は4月(※)から、夫の仕事の関係もあってオランダと日本の二拠点生活を始めることにしており、Uniposの常勤監査役もこのままリモートで継続します。
Uniposはリアルなコミュニケーションを重視する会社ということもあり、当初はオランダに行くタイミングでこの仕事も辞めなければいけないと考えていたのですが、社長に退任を申し出たところ、海外から続けたらいいじゃないかと言っていただけました。

※取材は2024年3月に実施。翌4月からオランダでの生活を始められています。

海外との二拠点生活は、私にとって2つのチャレンジになると思います。
1つは、リモート監査役として、うまく皆さんとのコミュニケーション量を増やしてこの仕事を継続するということです。
社内でも取締役会でも、Face to Faceで話せなくなることでコミュニケーションの難度が上がるところを補いつつ、オランダで身につけた新しい知見や視点から、これまでとはまた違った意見ができるようになりたいと思っています。

もう1つのチャレンジは、オランダという移民を多く受け入れていて多様なカルチャーを持つ国に対するチャレンジです。将来的に日本も移民を受け入れる可能性もあることなどを考えると、そういう多様性のある社会に暮らした経験を活かして、今後の日本の社会に貢献できることがあるのではと思っています。

今後、常勤監査役を目指す方々へのメッセージをお願いします。

監査役は面白く、やりがいのある職務なので、この仕事に興味があって、そこに向かって努力できると思えるなら挑戦すべきだと思います。
特に取締役会などの会社の経営における監査役の一番の仕事は、外部の人間だからこその視点をいかに提供できるかということに本当に尽きると思っています。
ですから、「会計士だから」「弁護士だから」できるということではなく、自分なりの視点をきちんと持っている方に向いている仕事だと思います。

私は、広告制作会社での3年間も、監査法人での10年間も、仕事や育児で悩んだことも、すべてが良かったと思っていて、その時々でそれぞれの事柄に真摯に向き合ってきたことが今の仕事に活きていると考えています。
また、何かに挑戦したり努力したりすることで今いるところより悪くなることはないと思うので、まだ早いとか今からでは遅いなんて考えずに、いつからでも目指していただきたいですね。

       

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