【オーケストラホールディングス 中島常勤監査役インタビュー】
「取締役会は生きたMBAの場」
ボードメンバーとして働くことの醍醐味とは

株式会社Orchestra Holdings
常勤監査役 中島 由紀子

一般企業の経理担当から公認会計士になられた中島さん。
監査役として触れる経営の様々な局面において、「生きたMBA」として意欲的に向き合う姿がとても魅力的です。
そんな中島さんの、好奇心旺盛で可能性溢れる働き方にフォーカスしました。

最終更新日 2024.2.7
※役職はインタビュー実施日現在のものです。

一般企業の経理部から公認会計士へ

キャリアのスタートは一般事業会社だそうですね。会計士ではなく一般の社員としてお仕事をされていたのですか。

はい。大学時代は会計士という仕事があることも知りませんでした。
大学卒業後、インテリアコーディネーターになりたくて建築会社に入社したのですが、コーディネーターの部署には配属されず、経理部に配属されたんです。
そこで経理を理解するために簿記の勉強を始めて資格も取ったのですが、それだけでは経理というものがつかめず、一番難しい公認会計士まで勉強したら分かるのではないかと考え、資格を取得しました。

きっかけとしては珍しいのかもしれませんが、とても本質的な動機であるようにも感じますね。

そうですね。動機の一つは経理部の仕事のためでしたが、将来的にインテリアコーディネーターになって独立した時のためでもありました。
独立して稼ぐにはどうしたらいいかを、会計士になれば分かるのではないかと考えたんです。
勉強を始めてから2年くらいはそのまま経理部で仕事をしていたのですが、そちらを辞めて会計事務所でアルバイトをしながら資格を取得した後、有限責任あずさ監査法人に入所しました。

監査法人で知ったIPO支援の面白さ

監査法人ではどのような業務に就いていたのですか。

IPO支援をメインに担当していました。
入所当初から独立を考えていたので、既に上場している大きな会社を何十人もの会計士で見るよりは、事業活動を把握できる小規模な会社を担当したいと思っていました。
また一般的な上場会社監査だけでなくプラスアルファの業務をしたいと考えていたので、IPO支援、または当時話題だった公会計の業務に配属希望を出し、結果的にIPO支援の部署に配属いただいたという経緯です。
3年の実務経験を積んで公認会計士登録ができたら辞めるつもりだったのですが、始めてみたら仕事が面白く、結局6年ほど続けました。

IPO支援の面白さは、どんなところに感じていましたか。

上場準備中の会社の支援というのは、内部統制が全くない状態から始まって、会計士も一緒に体制や仕組みを作っていくようなところがあります。
本来の会計監査の業務である、出来上がったものを見ることだけでなく、少し踏み込んで指導する機能も強いんです。
そのように現場の方々と一緒に作っていく過程や、会社の規模がまだ小さいことによる社長との距離感の近さが面白く、例えるなら文化祭の準備のような楽しさがありました。

独立の道を選んだ理由

監査法人で6年間お仕事された後、ご自身の会計士事務所を立ち上げられたのですね。

今後のキャリアとして、監査法人の中で昇進していくか、それとも別の道を選ぶかという、具体的な悩みが出てきたのがその頃でした。
もともと会計士になったのは、インテリアコーディネーターとして独立したいというところから始まっていましたし、その職業に限らず自分で自分の会社を作ってやっていきたいという思いは引き続きありました。
そのため、早めに独立してキャリア形成した方が良いだろうと考え、監査法人を辞めて会計事務所を立ち上げたという経緯です。
監査法人を辞めて間もなく、知人からの紹介で、初めての監査役に就くことができました。

独立する時点で、監査役になることは視野に入れていたのですか。

はい。監査役という職業は考えていました。
IPO支援をしている中で、監査法人のOB・OGの方々が社外監査役として色々な会社に行っているのを身近で見て、結構自由な働き方ができていいなと思っていたんです。
私はもともと、その日に何をするかを自分で決めたいという思考が強いので、サラリーマンでいるよりも自分の性(しょう)に合った生き方ができると思いました。
将来的にも、監査役や役員といった経験を積んで、フレキシブルに働きたいと考えていたので、お声がけいただけたことは有難かったです。

MBAがつないだ現任監査役へのご縁

監査役に就任される際はどのような点を重視していらっしゃいますか。

社長や経営陣がどのようなお考えをお持ちかというところを一番重視しています。
経営陣が、健全な会社運営についての常識的な感覚をお持ちであれば、当然のごとく内部統制の重要性も分かってくださるので、体制や仕組みを作っていくこと自体がスムーズに進みます。
あとは、事業に対して真摯な姿勢を持っていることでしょうか。
マネーゲームのような会社ではなく、事業自体で社会に貢献していくことや社会課題を解決していくことを信念としているような会社であれば、一緒に頑張ることができると思います。

現在常勤監査役をされているオーケストラホールディングスには、どのようにして就任されたのですか。

監査法人を辞めた後に、監査役をやりながらMBA取得のために一橋大学大学院で学んでいたのですが、その時の同級生が当社の非常勤監査役で、その方から紹介いただきました。
ちょうどその時の常勤監査役が任期満了を控えていて、次の人を探していたタイミングだったようです。
CFOがその同級生の監査法人時代の先輩だったことや、経営陣の考え方についても既に監査役を務めていた同級生のお墨付きがあったことで、就任を決めました。

中島さんがフレキシブルな働き方を求める背景には、お仕事以外にも色々なことに挑戦したいということがあるのですね。どのように両立されているのですか。

MBAを勉強していた時は仕事が終わってから、夜に学校へ通っていました。
プライベート面では今、ガラス工芸と陶芸をやっているので、そちらも何か形になっていくといいな、なんて思っています。

それもやはり監査役という仕事が、株主総会で監査報告書を出すために年間計画を立てて行動する仕事だからこそ、できていることだと思います。
結果的に、現在の常勤監査役に就任できたのもMBAのつながりからなので、色々なことにアンテナを張っておくことは大事だと感じています。

プライム企業の監査役としての意識と、変化への対応

常勤監査役として仕事をする上で、監査法人時代の経験はどのように役立っていると思いますか。

監査法人時代にIPO準備会社を多く担当させていただいたので、割と小規模な会社を少ない人数で丸ごと見ることができたという経験が役立っています。
主査(現場責任者)も担当させていただいたことで、会計仕訳の先にある事業活動までを具体的に把握できたということも大きかったです。
先ほど話した通り、当時から独立を見据えていましたので、独立したら必然的に小規模な会社の対応をするようになると考え、なるべく小さな会社に多くアサインいただくように希望を出していました。

意識して小規模な会社を担当していたとのことですが、現在のオーケストラホールディングスはプライム市場上場企業ですし、従業員数も1000人規模の大きな会社ですね。

就任した時は、既にプライム市場に上場していましたが、今よりも小さな規模でしたし、関係会社もシンプルでした。
ですから、IPOの延長から一緒に成長してきたようなところがあります。
例えばホールディングスのあり方や、M&Aの後にどのように内部統制を構築するかといったことを一緒に勉強させていただいているような感じです。

プライム企業の監査役というのは、視野・視点という部分で意識すべきことがあるのでしょうか。

私自身が意識するというよりは、会社に対して市場が求めるものが違うとは思います。
例えば、東証はプライム企業には一段階上の要求をしてきますし、コーポレートガバナンスコードの見直しにおいても、市場からの期待が年々大きくなっていると思います。
ですから、監査役はそういった変化に対応できるように関連法規の改正や市場の動向についてキャッチアップしていくことも重要です。

ボードメンバーだからこその覚悟と、仕事の醍醐味

常勤監査役の仕事について、どんなところに面白さや醍醐味を感じていますか。

ボードメンバーとして取締役会に出て、業務の執行状況を聞いたり、議決権はないものの会社の意思決定に関与できたりすることが醍醐味だと感じています。
単純に、一つの議案に対して出る意見がそれぞれの立場で違うこと自体が、とても面白いです。
例えば社長なら株価などに関する意見、事業部役員なら事業の進め方で意見が出ますし、私なら監査面にどういう影響があるかの視点で見るというように。
やはりどの役員も皆違う立場でそれぞれの責任を全うしようとしており、だからこそ役員が集まって決議することに意味があるのだと、毎回実感します。
言わば、生きたMBAといったところでしょうか。

現在は常勤監査役のオーケストラホールディングスのほか、他社の非常勤監査役も担当されていますが、複数の会社を持つことによる相乗効果のようなことはあるのでしょうか。

現在、オーケストラホールディングス社のほかに子会社2社と、グロース市場上場会社1社を担当しています。
やはり、他社で出た論点がもう一方の会社ではどうだろうと当てはめて考えたり、社外役員の方々の意見を聞いて新しい視点に気付くことができたりと、会社ごとに多くの経験を得られるので、私はできるだけ何社か兼任した方がいいだろうと思っています。

最後に、今後監査役を目指す方へメッセージをお願いします。

一年間の計画の中で進めればいいという、ある程度のやりくりのしやすさがあるので、ライフイベントの多い女性にとっては向いている職務だと思います。
そして役員としての責任が重い分、やりがいもあります。
私の考える責任というのは、重大なインシデントが起きてしまう前に、言いたくないことも言わなければならない時があるということです。
ですから、責任を果たすための覚悟を持ち、そのような局面にならないように日頃からこまめな検討を行うこと。
これができていれば、監査役として責任ある仕事していけるのではないでしょうか。

       

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