【and factory 前田監査役トピックス】
監査役に初めてなられた方におススメしたい本
and factory株式会社
常勤監査役
前田 晴美
PJOエグゼクティブサーチのトピックスは、これから監査役にチャレンジする方にとってより役立つコラムにするため、今回から現役で活躍されている女性監査役に執筆していただきます。
今回の執筆者はand factory常勤監査役の前田晴美さんです。
はじめて常勤監査役に就任した時は、何もわからない状態からスタートされ、はじめはずっと一人で模索していた状態だったそうです。
現在は2社目を経験し、活躍されている前田さんから「監査役に初めてなられた方におススメしたい本」をテーマに当時を振り返りながら、これから監査役としてチャレンジされる方に向けて執筆していただきました。
最終更新日 2020.08.31
※役職はインタビュー実施日現在のものです。
※前田晴美さんインタビュー記事「こちら」
最初に知っておくべきことは何か。何から手をつければいいのか?
「監査役の仕事とは何か?」と聞かれたらあなたはどのように答えますか?
その存在を知っていても、いざ実際に実務になるとわからないことも多いのではないでしょうか。インターネット上で見つけることのできる情報もたくさんありますし、うまく検索できれば、有益な情報にあたることもそれなりにあります。しかしできれば付箋を付けたり、マーキングできる、手元に置いておくこのとができる、まとまった解説書が欲しいものです。
そこで、監査役就任後に知っておきたい法令やすぐに使える監査役監査実務の本などを、新任監査役向けとしてご紹介させていただきます。
すでに監査役についてご存じの方でも、監査役の立場から書かれた書籍ですので、監査役目線での頭の整理のために手に取ってみてはいかがでしょうか。
監査役監査で理解しておくべきポイントをとりあえず知りたい!
この本は、監査役が最低限知ってきたい、会社法の条文や会計知識、業務監査の技術と法的対応、どんな点に注意すべきなのかなどのポイントを押さえた、新任監査役向けの本です。
当初、私が監査役に就任したばかりで「何がわからないかが、わからない」ときにお世話になった1冊です。
ほとんどの監査役用語を知らなかったので、インターネットで「○○とは」と検索する毎日でした。何をどこから勉強すればよいのかがわかり、その後頭の整理もできて、理解するスピードが上がりました。
他社の企業不祥事を判例を見ながら、監査役の立場についてや会社法における内部統制システムの監査についてなど、一歩踏み込んだ内容になっており、監査法人出身者などある程度監査役制度について理解している方向けです。
監査役が監査に必要な情報をいかに把握するかが重要で、情報がなければ監査役は仕事ができません。
「第2章 監査役と監査役を取り巻く関係者」では、リスクや問題点をどのように洗い出し社長に伝えるべきかについて参考になりました。情報収集した上で見つかった場合や、リスクや問題を経営側とどのくらいの距離感でコミュニケーションをとるべきかなど考えさせられました。
監査役制度論や解釈論よりも監査実務が知りたい!
監査役計画の策定、年間スケジュール、期中/期末監査、定時株主総会等の1年を通じたの監査実務を中心に事例や様式が盛り込まれており、就任時から活用できる内容になっています。監査役協議会/監査役会を立ち上げる時に便利な1冊です。
法改正や新しい情報を加え改版される書籍ですので、最新版をご利用ください。
私の場合は、監査役計画、年間スケジュール、株主総会の想定問答について、この本で初めて知りました。事例を見てイメージすることができました。
日本監査役協会の資料ってスゴイ!
長年、監査役業務の研究を重ねてきたチームが作った監査役監査の資料が、無料で入手できます。
・監査役監査と監査役スタッフの業務(通称オレンジ本)
たとえば、「監査役監査チェックリスト」は、それぞれ会社法の機関設計により区分された資料になっていますので、会社のフェーズに合わせて利用できるよう工夫がされています。
「取締役会+監査役」
「取締役会+監査役+会計監査人」
「取締役会+監査役会+会計監査人」
「取締役会+監査役会+会計監査人」【上場会社編】就任後から期中、期末監査のチェックリストですので、監査役がどのような視点で監査すべきか、基本的事項の確認になります。
終わりに
ここでは、新任監査役向けに絞ったものをピックアップしてご紹介しましたが、「内部統制システム」や「監査役の調書の書き方」など、日本監査役協会の資料はまだまだたくさんあります。
監査役は、取締役と同様に、善管注意義務など特別な義務と責任を負います。そのうえで監査業務を行うためにはいろいろな法令、業務についての知識が必要になります。
最初にすべて理解することは到底難しく現実的ではありません。私もいまだに、日々の監査業務を通じて必要となる知識を学んでいます。
まずはそのとっかかりとして、私が利用してきてよかった書籍をご紹介させていただきました。