【メルカリ 栃木常勤監査役インタビュー】
「人生が面白い展開になってきました」
流れに抗わず新たな道を拓く、私の監査役への取り組み

株式会社メルカリ
常勤監査役 栃木 真由美

金融業界での内部統制構築などの経験を経て、メルカリの監査役に就任した栃木さん。
流れに抗わず、チャンスが来た時にそれをつかみ、新たな道を拓くしなやかな生き方についてお話しくださいました。

最終更新日 2023.9.25
※役職はインタビュー実施日現在のものです。

金融業界で培われた内部統制とコンプライアンスの知見

キャリアのスタートは外資の会計法人と伺いました。

はい。アメリカの大学を卒業後に現地のDeloitte&ToucheLLPに入社しました。
入社後にUSCPA(米国公認会計士)の試験に合格し、資格取得に必要な実務経験を積み、ライセンスを取得しました。
その時点で就労ビザの残りの期限と永住権の取得までに必要な期間の検討もしながら、その後どうするかを考えていた時に、転職エージェントからJ.P.モルガン証券会社(現JPモルガン証券株式会社)の内部監査の募集のお話をいただきました。
ニューヨークの本社で数か月のトレーニングを受けた後に東京のオフィスに異動できる人材を探しているということで、これは何かに導かれているのではとも思い、その流れに乗ったんです。

J.P.モルガンではどのようなお仕事をされたのですか。

J.P.モルガンでは銀行、証券、資産運用部門など業務が多岐にわたるので様々な部門の監査業務に携わることができ、東京拠点全体の内部監査のヘッドも務めさせていただきました。
その後、社内のコンプライアンス部門内でアジア・パシフィック地区の法令順守に特化したテスティング部隊を立ち上げることになり、そのグループ統括責任者として、仕組みづくりや体制づくりに携わりました。
J.P.モルガンで18年務めた後、格付け会社であるスタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社(現S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社)でのコンプライアンス担当執行役員として5年ほどの役務を経て、2019年1月に株式会社メルカリに入社しました。

日本企業、IT、マーケットプレイス…初めて尽くしのメルカリへの転職

メルカリへはどのようにして転職されたのですか。

前職もとても良い会社で充実した業務環境だったのですが、内部統制の仕組みや体制が整ってきて、何か違うことにもチャレンジしてみたいと考え始めたときに、エージェントからメルカリのお話をいただいたんです。
この前年の2018年にメルカリは東証マザーズに上場しており、経営陣も内部統制の更なる強化をしていかなければならないと考え、そこに必要な人材を探していました。
そこで監査やコンプライアンスの知見を持つ人材として私にお声がけいただき、最初は内部監査の執行役員として採用されました。

それまでの会社とはずいぶんと毛色が異なりますが、メルカリへの転職の決め手は何でしたか。

正直なところ、日本のIT企業、かつマーケットプレイスというこれまでとは異なるフィールドだったので、お話をいただいた当初は難しいのではないかと思いました。
会社の期待に沿えるのか、カルチャーギャップがあるのではないか…、と不安だらけだったんです。
ただ、全く初めての業務をゼロベースからスタートするのではなく、経験のある内部統制の構築ということだったので、それなら自分がお役に立てるだろうと思えたことが転職を後押ししました。

また当時は2013年の創業から5年の非常に若い会社でしたが、実際に経営陣の方々にお会いすると、会社の成長に向かって熱意と夢を持って進んでいこうとしているのが強く伝わってきました。
この方々となら信頼して一緒に頑張れそうだと思いましたし、経営陣が内部統制を会社の成長のための重要な要素として考えていたことも、決め手になったと思います。

経験の先に拓けた、監査役という新たなフィールド

もともと内部監査部門の執行役員としてお入りになったとのことでしたが、監査役にはどのようにして就任されたのですか。

入社した年の9月に株主総会を迎えるに当たり、監査役への就任を打診いただいたんです。
まだ転職したばかりで、監査役になることは考えてもみなかったので、果たして私にできるのかという不安はありました。
ですがその時は、メルペイというスマホ決済サービスをリリースしたばかりで世の中に広げていくことにフォーカスしているタイミングで、ちょうど金融の知見を持つ監査役が必要とされていました。
そこで私へのオファーは、株式会社メルカリの監査役を務めながら、株式会社メルペイの監査役を兼務するという内容だったんです。
それなら、メルカリで内部統制の構築という経験を活かしつつ、メルペイで金融の知見もお役に立てるだろうと考え、お引き受けしました。

内部監査部門の執行役員と監査役はどのように違うのでしょうか。

実際に就任してみて、監査役の仕事は内部監査部門と密接につながりつつも、独自の責務を持っていることが分かりました。
内部監査は、会社全体の内部統制が効いているかをチェックし、必要に応じてコントロールの改善や強化を促す役割です。
一方で監査役は、各取締役が何を考え、どのような方向に進んでいるか、各役務を果たすに当たり抜け漏れがないか、それぞれの役割を果たしているかをチェックする機能を持ちます。
つまり、見ている範囲と視点が違うんです。
その視点に立つためには、内部監査から上がってきた問題点や指摘事項を認識し、会社にとって解決しなければいけない事項を理解することが不可欠です。
そういった意味で、密接につながっていながらも、違う職務と言えます。
私としては、これまで経験を積んできた内部監査の延長に新しいフィールドを発見したという感覚で、新鮮に感じています。

監査役に職務が変わったことで、会社の方々とのコミュニケーションに変化はありましたか。

それほど大きく変わったとは思っていません。
もちろん監査役として独立性を保たなければなりませんが、同じ会社で同じ方を向いてフルにパフォーマンスを発揮するという点では変わりないからです。
私の根本にあるのは、経営陣をいかに信頼し、互いにリスペクトを持って一緒に仕事できるかということなので、どんな役務であってもそのスタンスは同じです。
その結果として、コミュニケーションの仕方にもあまり変化がないということなのだと思います。

孤独を感じる職務ではないのですね。

そうですね。私は孤独感というのは特に感じていませんが、そこには経営陣の考え方も大きく影響するかもしれません。
メルカリの経営陣は、監査役を自社の健全な成長のために重要なファンクションであると認識してくれており、お互いにリスペクトし合って仕事ができているからだと思います。

自社の成長が自分ごとに。BtoC企業の監査役ならではのやりがい

監査役としての醍醐味はどんなところに感じますか。

やはり自分の会社のプロダクトを理解することが大切なので、自分のメルカリの売上金でメルコインの機能を使ってビットコインを買ったり、メルペイで支払いをしたりして、ユーザーの視点で何か気づくことがないかを常に考えるようになりました。
これまで携わってきた金融の領域とはまた違い、身近なプロダクトを扱っていることによる学びや周囲の反応もあり、新しい知識も視点も身につけられて、自分の人生が面白い展開になってきたと思っています。
自社のテレビCMなどを見るたびに、私はこの会社の発展のために、監査役として貢献できているかなと自分ごととして捉えていることにも醍醐味を感じます。

メルカリは新しいサービスを次々と世に出しているので、監査役として考慮すべきことも多大にあるのではないかと思います。非常に緊張感のあるお仕事と想像しますがいかがでしょうか。

幸いなことに、私のほかにもう一人常勤監査役がおりますので、二人で協力しながら取り進めています。
取締役会だけではアジェンダも限られているので、いろいろな会議や委員会などにも出席して情報を補完するようにしています。
また、個別に主要部署の多くのマネージャーの方々と、定期的に会ってお話する機会もいただいており、今どんなことが現場で起きていて、どんな懸念点があるのかを個別にキャッチアップしています。
そのように能動的に動いて、自分たちの知らないところで思わぬことが起きていたといった事態を回避できるように努めています。
そういう意味では、監査役の側からかなり積極的にアプローチし、取りこぼしのないように危機感を持って情報収集をするように心がけています。

大企業でも、やはり自分の目と耳で情報収集することが大事なのですね。

少なくとも今のメルカリはそうですが、会社のフェーズにもよるかもしれません。
もっと事業が安定しているフェーズの会社であれば、監査役のあり方、動き方、視点は変わってくるように思います。

流れに抗わず、その時その場でフルにパフォーマンスを発揮することで道は拓ける

プライベートとの両立というところでは、どのように過ごされていますか。

監査役に限らないことではあるのですが、コロナ禍で始まった在宅勤務の恩恵もあり、ワークライフバランスは実現しやすいです。
平日でも仕事が終わったらすぐに切り替えて、夜は趣味のバレエのお稽古に通ったりしています。

このサイトの読者には、30~40代で今後のキャリアや子育てに悩まれたりしている方も多くいます。その時期をどのように過ごすと良いと思われますか。

私には子育ての経験がありませんが、自分の力ではどうしようもないこともあると思うんです。
私は、そういう時に力づくで抗うことはあまりせず、運命の流れに乗ってみるようにしてきました。
何か思うようにいかないことがあったとしても、固執せず、悩みすぎないように気を付けています。
そうすれば、行きつくべきところにたどり着ける気がしますし、その場でフルにパフォーマンスを発揮することができれば、想像もしていなかった道が拓けて、新しい発見や楽しさを見出すことができるように思います。

しなやかな生き方が素敵ですね。今後はどのようにお仕事をしていきたいとお考えですか。

株式会社メルカリ、メルペイ、メルコインの三社の監査役としての経験を通し、新しく事業をスタートさせる会社の活気や面白さに気づくことができました。
昨今は、スタートアップ企業がどんどん成長している中で監査役が必要とされつつも、なり手が少ない状況でもあるので、私の経験をシェアすることで、この仕事に興味を持ってくださる方を増やせるといいなと思っています。
また、お役に立ちたいと思えるような会社とのご縁がほかにもあれば、非常勤の監査役として仕事をしてみたいとも考えています。

これから常勤監査役を目指す女性にメッセージをお願いします。

私もそうでしたが、監査役の仕事というのは具体的なイメージが湧きづらいのではないかと思います。
それ故に、監査役のお話が来ても躊躇してしまう方もいるでしょう。
そんな時には一度、経営者の方々とお話をしてみることをお勧めします。
そして、「この方々なら信頼して一緒に頑張れそうだ」と思えるなら、ぜひチャレンジしていただきたいですね。
実際に飛び込んでみると、想像していなかった発見や楽しい展開が待っているかもしれませんよ。

       

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