【オエノンホールディングス 中瀬常勤監査役インタビュー】
「社内出身の常勤監査役ならではの貢献を」監査役の枠にとどまらない変革へのチャレンジ

オエノンホールディングス株式会社
常勤監査役 中瀬 縁

同社で社員としてのご活躍を経て、今年3月に常勤監査役に就任された中瀬さん。
社員時代のご経験や同僚・部下への思いがあるからこその、変革へのチャレンジとは。

最終更新日 2023.7.27
※役職はインタビュー実施日現在のものです。

転職や配置転換の中で貫いた、仕事に対する誠実な態度

キャリアのスタートは外食産業だそうですね。

はい。最初はロイヤル株式会社(現ロイヤルホールディングス株式会社)に入社し、現場の店長や商品開発、新人社員教育など様々な業務に携わりました。
その後、「とんかつ新宿さぼてん」の株式会社ジー・エイチ・エフ・マネジメントを経て、オエノンホールディングスのグループ会社である合同酒精株式会社に入社しました。

一貫して食品系のキャリアを歩まれているのですね。合同酒精へはどのような職種で入社したのですか。

最初はマーケティングを担当したのですが、その後は調達部門、工場、品質管理部門など、様々な部署を経験しました。
今になって思えば、食料品メーカーでの業務を一通り経験できたので、監査役として俯瞰した視点で、社内業務を理解することに繋がりました。

どのような経緯で監査役に就かれたのですか。

前述の様々な部署を経験した後、監査室長を担当することになり、2年務めた後の今年の3月に監査役に就任しました。
転職した当初から考えれば、まさか私が監査役にという驚きはありましたが、これまでも常に経験のないことをやらなければならないキャリア展開でしたので、その都度必要なことを勉強して対応してきました。

監査役就任に当たって特に勉強したことなどはありましたか。

監査役になってからは職務に関連する法令や財務会計について学び直しました。
不動産事業も扱っていることから宅建についても勉強しています。
これまでの業務経験で乗り切ることもできるかもしれませんが、やはりその都度、仕事に向き合う誠実な姿勢が必要だと思っています。
表面的にこなすということが一番良くないことで、たとえ目標に届かなかったとしても、誠実に取り組んでいれば、成果に近づくことはできると思います。
仕事に対して誠実な態度で臨むというのは、これまでのキャリアの中で一貫して守ってきたことです。

ビジネスパーソンに求められる、意見表明の勇気とスキル

社内の女性活躍プロジェクトのリーダーもなさっていたそうですね。

はい。社内横断的な取り組みで、「何をしようか」とゼロベースから始まったプロジェクトでした。
男性も含めた社内アンケートを取ったり、意見形成をしてトップへの提言をまとめたりと、様々なことにチャレンジしました。
社内から集められたプロジェクトメンバーは当初おとなしく、なかなか意見が出てこなかったので、意見を持ち表明しやすい土壌作りに力を入れました。
皆、徐々に意見を発言するようになると、自分達の意見に理解・共感してもらうために、話すタイミングを計ったり、言って駄目なら引いてみたり、といったことを実践するようになりました。
そういった変化を見られるのはとても楽しかったですね。

そういった土壌を作るには、長い期間が要るのではないですか。

流れができるまでには、1年かかりました。
もともと問題意識がある人ばかりが集まっているわけではないので、「なぜこの活動をやるのだろう」というところから始まりました。
満足な環境にいる社員はあえて意見を言おうとしませんし、そうでない社員は不満を持ちながらも言っても仕方ないと思っているかもしれません。
そういった様々な環境にいる人たちが自分達の心の声をプロジェクトメンバーを通して、少しずつ打ち明けるのを促す活動でもありました。

社内の声を聞くというのは、現在の監査役のお仕事にも繋がるところがありそうですね。

そうですね。社内の声を聞いて現状を理解するという意味では、繋がるところがあるかもしれません。
それと同時に、会社という組織における「ボタンの押し方」、つまり、ビジネスパーソンとしての意見表明の仕方を学ぶ活動でもありました。
後に監査役として行うことになる、業務監査時のヒアリングでも、非常に役立つ経験だったと思います。

執行側とのリレーションによって会社を創る、監査役の面白さ

社員時代には気づかなかった、監査役だからこその面白みなどはありますか。

社員時代は、監査役が何をやっているのかよく知りませんでした。
ですが、取締役会に出るようになって、会社の意思決定がどのようになされるのかを知ることができ、社員時代は、一見不条理だと思っていたことも、実はよく考えられた上で決定されていることを知ることができました。
また、執行の立場でないことは、つまらないのではないかと想像もしましたが、そんなことはありませんでした。
取締役の職務執行を監視しつつ、経営判断の妥当性を確認し、取締役と連携して、企業価値向上に寄与できることは、面白い所の一つと思っています。

執行側との連携とは、具体的にどのようにされているのですか。

業務監査で、各事業所を訪問するのですが、その際に執行役員はもちろん、現場のマネージャーとも話します。
活動状況やリスクへの対応状況の確認をすることはもちろんですが、「ぶっちゃけたところ、どうなのよ」と腹を割って話すことも大事にしています。

最近は、継続的に企業価値を向上するためには、従業員のエンゲージメントも重視していかなければ、という流れになっています。
ですから、法令遵守や企業としての社会的責任を果たすだけではなく、社員の皆さんが何を思い、何にメリットややりがいを感じているかを理解し、そこにも配慮していかなければいけないと考えています。
そういった現場の皆さんの想いを知っておくことも、監査役としての意見形成を誤らないためにも、必要な事だと考えています。

監査役になってみてイメージしていた仕事との違いはありましたか。

マイナスに作用することは何もなく、前向きなことばかりだと思っています。
取締役会には必ず出席しなければなりませんが、最近のジョブ型という働き方にマッチしており、ワークライフバランスを保つにはとても良い働き方ができています。
私自身は結婚していて子どもはいませんが、平日・土日を通して華道・茶道・書道…と趣味の活動も多く、そういったこととの両立もしやすいですよ。
お子様がいらっしゃる方も、授業参観などに合わせて主体的にスケジュールを組んで、業務を遂行することもできると思います。

“道”のつくご趣味が多いのですね。

そうですね。型を重んじ、時代に対応するという考え方は、業務に共通するところがあります。
基本的に新しい事が好きで、さらに高みを目指したら、違う景色が見えるかもしれないと思ってしまうので、どれも15年ぐらいやっています。
長くやっていると、文化の継承者としての責任のようなものも感じてくるようになります。

同僚や部下の顔を思い浮かべて。社内から就任した監査役だからこその革新へのチャレンジ

今後どのようにお仕事をしていきたいとお考えですか。

まだ監査役になって4か月余りですが、将来的にはこの会社における監査役の役割や女性の役割を革新できるような貢献をしたいと考えています。
外部から監査役を呼ぶこともできる中で、社内から女性の常勤監査役を選出したことは、革新的な事だと考えています。
私としても、社員だった時の「こうだったらいいな」という想いを持っていますし、かつての同僚や部下の顔が思い浮かび、いい会社にしていきたいなぁという想いがあります。
監査役の立場で会社をいい方向に変えられることがあるなら、ぜひ推進していきたいですね。

監査役という枠にとどまらない、チャレンジングな目標ですね。女性の役割の革新とはどのようなことですか。

女性だけでなく、性別に関わらず一人ひとりの特性を活かせるような会社の運営が大事だと考えています。
数年前に『妻のトリセツ』(※)という本がベストセラーになりましたが、その本によると、女性には家族が安全に過ごせるように導く本能や、妥協しないといった女性ならではの特性があるそうです。
例えば会社でもそういった女性の特性を以て、周囲の人に安心・安全な環境を提供したり、強い使命感を活かしたりできるような職務を任せるといった考え方を取り入れながら、会社運営ができると良いと思います。
そうして性別や性的指向によって区別されることなく皆が同じ目標に向かってそれぞれの能力を発揮し、結果的に会社が良くなって競争力を得ていくというのが理想です。

※黒川伊保子『妻のトリセツ』、講談社、2018年
脳科学の立場から女性脳の仕組みを前提に妻の不機嫌や怒りの理由を解説し、夫側からの対策をまとめた、妻の取扱説明書。

これから常勤監査役を目指す女性にメッセージをお願いします。

目指すかどうかにかかわらず、私のように機会を得る人もいるでしょう。
そのようなチャンスが来た時に耐えうる心技体を鍛えておくと良いと思います。
20代、30代であってもまだまだ先のことだと思わず、お話が来た時に「私には無理」と断らなくていいように備えておくことが大事なのではないでしょうか。
言い換えれば、いつでも応えられるようにしておくということがプロフェッショナルなのだと思います。
そのためにも、やはり意見表明をする勇気を持つこと、あるいはその練習をしておくことが重要だと思います。
これは監査役に限らずポジションアップしていくには必要なスキルなので、ぜひ磨いていただきたいですね。

ボーイスカウトの標語に「備えよ 常に」というのがあります。
火がない時、刃物がない時など、道具が揃っていなくても最善の対応ができるようにしておく事と同様に、私たちもビジネスパーソンとして、自分にすべてが揃っていなくてもその時にできる最善の業務を遂行できるよう、キャリア形成していくことが大事だと思います。
そうして備えを積み重ねた上で、チャンスが来た時にはチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

       

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