【FIREBUG 橋本常勤監査役インタビュー】
「社長の頭の中にある世界を実現したい」事業創りを支える監査役のクリエイティビティとは

株式会社FIREBUG
常勤監査役 橋本佳奈依

最終更新日 2022.07.01
※役職はインタビュー実施日現在のものです。

IPOに関わりたいという一貫した思いとキャリア

これまでの経歴をお聞かせください

ファーストキャリアは、2010年に入所した監査法人です。
もともとIPO支援の部署に興味があったのですが、人気の部署でもあり配属が叶わず、国内監査部門で日本のメーカーや小売等一般的な国内監査に携わっていました。
働く中で、マネージャーの方や子育てをしながら働いていらっしゃる女性がかなりタフで優秀だと感じており、自分がそうなるイメージがなかなかつかなかったんです。
それとともに、やはりIPOに関わりたいという気持ちがあり、2015年に会計事務所に転職しました。

そちらは同じ監査法人にいた方が独立して立ち上げた会計事務所だったのですが、起業したばかりの会社や、シード期、アーリーステージのスタートアップ向けの業務が多く、IPO支援の機会はありませんでした。
事務所自体が事業拡大の時期に差し掛かっていたことから業務もハードになってきていたのですが、そろそろ子どもが欲しいとも思っていたこともあってプライベートを優先できる働き方を考え、2016年からフリーで仕事を始めました。

ちょうどその頃、監査法人時代の先輩で現Voicy社長の緒方さんが友人から買い受けたゲノム医療事業を始めるところで、一緒にやらないかと声をかけていただいたんです。
プライベートを優先する働き方も叶い、その後妊娠して出産するという頃にゲノム医療事業を売却することになり、それに伴い自分の業務も売却先に引き継ぎました。
出産後の仕事をどうするかを考えていたところにまた緒方さんから連絡があり、Voicyで常勤監査役を探しているから一緒にやろうと言われたんです。
これが監査役としてのスタートでした。

常勤監査役を打診されて、いかがでしたか。

打診された時は、常勤監査役って何をしたらいいか分からないし、責任も重そうだと思ったんです。
一方で、緒方さんの人柄や周りの人を巻き込む力を尊敬していたので、この方のサポートをしたいという気持ちも強く、引き受けることに決めました。

その間もIPOに関わりたいという思いは持ち続けていましたが、Voicyはまだそのタイミングではありませんでした。もう少し上場に近いフェーズの会社に関わりたいと緒方さんに伝えたところ、「いいんじゃない」と応援してくださいました。
そこで一旦外に出てみようと思い、2021年にFIREBUGの常勤監査役に就任し、今に至ります。

「分からないのは当たり前」監査役にも活きるゼロ→イチの仕事術

少し話が戻りますが、ゲノム医療事業のお仕事は会計士として入られたのですか?

いいえ。社長の緒方さんと私の二人だけでゼロから会社を創っていく感じでした。
ですから、業務フローを作ったり、アドバイザーの医師と一緒に営業に行ったり、癌の検体をアメリカの検査機関に送ったりなど、事業に必要なことはすべて自分でやらなければなりませんでした。

橋本さんは仕事に境界線を引かずに何でもチャレンジされる方ですね。
ゼロから事業を組み立ててこられたご経験で今の監査役に活きていることはありますか。

監査役として仕事をする上でも、分からないことってどんどん起きてくると思うんです。
特にスタートアップ企業で扱うような新しいサービス、例えばNFTの取引を始めたいとなった場合も、経験がないのでそれを実現するための会計ってどうすべき?というところから始まりますよね。
ですから、分からないことから始まるのは当たり前と捉え、調べた上で会計士としての経験から論点を導き出し、監査法人に相談したりして解決していけばいいと思うんです。
分からないことがあってもどうにかなるし、最終的には外部の専門家など分かる人にきちんと聞いて答えを導き出せればよいと思えるのは、ゼロをイチにする経験が役立っているかもしれません。

経営陣のビジョン・ミッションに共感することの重要性

FIREBUGに就任した経緯を教えてください。

エージェント経由で紹介していただきましたが、事業と経営陣に魅力を感じて就任を決めました。
私はもともとエンタメビジネス(裏方)に興味がありました。
加えて大学でマーケティングも学んでいて広告事業にも興味があったのですが、就職活動ではご縁がなく、諦めて会計士になったんです。

FIREBUGは、そのエンタメビジネスと広告事業の両方が揃っている会社なので魅力的でした。
やはりエンタメビジネスってリスクが高いんです。反社会的勢力の問題や取引がファジーなビジネス慣習から管理系業務の難しさがあり、監査法人などからも敬遠されることがあるとも聞きます。
こういった理由によりなかなか引き受ける人がいないところにチャレンジしたい気持ちと、エンタメビジネスへの興味から、引き受けることにしました。
また、経営陣のビジョンやミッションに共感できたというところも重要なポイントでした。

それは、IPOに関わりたいというお気持ちに通じるところがあるのでしょうか。

そうですね。IPOに関わりたいという気持ちの根底に「社長の頭の中にある世界を実現したい」という思いがあります。
就任後すぐ、「将来的に会社をどうしたいですか?」と代表の佐藤に聞いたところ 「エンターテインメントのエコシステムを創りたい」と話してくれました。エンタメ業界全体を育てるとなると、多額の資金が必要になるのでIPOをしたいと。
日本の芸能界は小規模事業者が多いという業界の特徴を勘案しても、エコシステムを創るというチャレンジングなビジョンにワクワクしました。
私は経営陣に、その実現に専念してほしい、頭の中にあることを自由に表現してほしいと思っており、そのための環境を会計士という立場から整えることが出来たらと考えています。

実はクリエイティブな監査役の仕事

監査役という仕事は、実際にやってみてどうでしたか。

イメージとしては、基準に従って淡々とチェックしていく堅い仕事だと思っていましたが、実際は自分でクリエイトする部分が多く、企業価値向上のためにガバナンスを構築するというゴールに向かって、アプローチの仕方がいろいろとあります。
例えば部署のトップが変わると、その人のバックグラウンドやメンバー同士の関係性によって、部署自体の強み・弱みに変化が出ます。
特にコーポレート部門に関して、私はその強み・弱みを見極めて、内部統制や会計の面で不足があればサポートしたり、私で賄いきれないことは外注したりして補うようにます。
リソース不足に気づいた場合は代表に相談して補完してもらうなど、様々なアプローチを模索し、どう弱みを補うかを自分で考えて提案するのは、意外とクリエイティブな仕事だと思っています。

以前は、自分は執行しないのでどうにもできないと思っていましたが、最近は執行しなくても主体性を発揮できると思うようになりました。
どういうルートで伝えるかを考え、どんな選択肢を提案するかなど、主体性を発揮できる場面は多くあり、自分も意外と無限に動けると気づいたんです

監査役という仕事の醍醐味について、橋本さんはどうお考えですか。

監査役の仕事は本当に面白いので、いろいろな方にお薦めしたいと思っています。
一番の面白さは会社の色々な人と会話する機会があることです。
会社の誰とでも、話したいと思えば話せる役職ってあまりないと思うんですよね。
現場の人や社外役員など、異なる立場の人の目を通して様々な視点で会社を見ることができるので、同じものを見ていても、それぞれ見え方がこうも違うのかという発見があります。
そこで得た気づきに対してどうコミュニケーションを取るかを考えることも、非常に面白いです。

コミュニケーションの取り方で意識していることはありますか。

基本的に、私が本当に思っていることと、私の立場として言わなければならないことははっきりと伝えます。
一方で、社内でヒアリングをするときは、相手が身構えてしまうこともあるので、少しコミュニケーションの方法を変えることがあります。それは例えば、何が相手を身構えさせているかを考え、言いづらい原因を取り除くようにするといったことです。
そうして身構えているのが解けて、相手の本音が聞けるようになったときは嬉しいですね。

常勤監査役は、子育てしながらチャレンジもできる働き方

子育てとの両立という面で、監査役の仕事はいかがでしょうか。

Voicyの監査役になったばかりの頃は、子供が熱を出して週4日休んでしまうといったこともありました。
ですが、「そういった状況も見越して監査役という仕事を依頼しているから大丈夫」という経営側のスタンスもあり、それほど気にせず働けていました。もしやらなければいけないことがあれば夜に時間をつくって仕事をするなど、工夫もできます。
子育てだけでなく、自分の興味のある勉強をする時間を確保することもできているので、常勤監査役は子育てなどで物理的な制約がある時期も、働きやすい仕事だと思います。
私にとっては幸せな環境ですね。

橋本さんにとって幸せとは何ですか?

私にとっての幸せは「チャレンジしていること」で、今はそれが実現できています。
子育てしながら仕事をするとなると、制約がある中でやれる範囲のことしかできないと想像していましたが、働き方を変えると、子供がいても新しいことにチャレンジし学べると気づきました。
子どもが産まれるとチャレンジできないのではないかと不安を感じている人がいるのであれば、その点については大丈夫ですよ、といってあげたいです。

同様に会計士のバックグラウンドをお持ちでも、常勤監査役となると責任を感じて躊躇される方もいるようです。そういった方へのメッセージはありますか。

法的なリスクはあるので、その責任を認識することは必要ですが、責任があるからこそ勤務形態など自由が与えられているとも思っています。
ただ、「一人に判断が圧し掛かる」という意味での責任を必要以上に感じなくてもよいと思います。

意識しているのは、気になること・リスクになり得ることをきちんとテーブルに載せて議論することです。議論を通して経営メンバーがきちんとリスクを理解し、その上で実行すると判断されたことであれば問題ないと思うんですね。
議論すべきことをきちんとテーブルに載せてもらえるようにアプローチするというのが常勤監査役の役割だと思います。

橋本さんがこれからチャレンジしたいことはありますか。

「自分の関心がどこにあるか」をもっと明確にしていきたいです。
タスクに追われる状況の中で、それが自分の関心と結びついていればワクワクしながら仕事ができるのですが、そうでなければただのタスクになってしまうと思うんです。
自分の関心を明確にして、それに紐づく仕事ができる環境をつくり続けていきたいですね。

       

CONTACT お問い合わせ

女性監査役をお探しの企業様、また監査役への就任にご興味がある求職者様はフォームに必要事項をご記入の上、お問い合わせください。

お問い合わせ後3営業日以内に担当者より連絡いたします。

当社担当者との面談の機会を頂き、求職者様には監査役の仕事内容や紹介企業の情報等の説明を、求人企業様には求職者のご紹介までの流れをご説明させていただきます。

会社名
氏名
フリガナ
メールアドレス
当サイトを知ったきっかけ
相談したいこと