【インヴァランス 増田監査役インタビュー】
「監査法人から出たら沢山のチャンスがあった」監査役になって感じた会社選びのヒント
株式会社インヴァランス
常勤監査役/公認会計士
増田 直
今後のキャリアを見据えて転職を考えるとき、皆さんは何を基準に会社選びをしますか?
公認会計士として監査法人で18年勤務されたのち、株式会社インヴァランス(以下、インヴァランス)の常勤監査役というキャリアを選んだ増田直さん。
そんな増田さんから会社そして常勤監査役を選んだ理由についてお話を頂き、また常勤監査役へのキャリアを考える際に、会社選びに役立つヒントを教えていただきました。
最終更新日 2020.11.16
※役職はインタビュー実施日現在のものです。
「家族のために働き方を新しくしたい」働き方を振り返る
18年も勤めていた監査法人から、次のキャリアを考えた動機について教えてください。
監査法人でマネージャーのポジションにいたのですが、こどもが3~4才の頃にGWもなく働いていて、実家の母にサポートにきてもらうほど忙しかったんです。
法定監査を中心に業務の幅も広くやりがいも感じていましたが、自分が子育てをしている都合で、その負担が同じチームの若いメンバーたちにいっているのを感じました。返信も深夜になってしまったり、役職以上のことをしなければならないのに、十分にできていると思えなかったり……
限界を感じて、キャリアを見直しました。
キャリアを見直すときには、すでに監査役に絞っていたのですか?
最初は監査役にこだわっていなくて、興味がある程度でした。実際に監査役として活躍されている方の話を聞いて少しずつ情報収集をしていきました。
監査法人時代は成熟した会社をメインに複数関わっていたので、監査役としてスピード感のある若い会社で仕事をすることに新鮮さを感じました。また監査法人時代は監査基準や会計基準等から判断したあるべき回答を上司や品質管理部門に確認できる環境でしたが、監査役は自己研鑽してやっていかないといけないという点も自己成長には良いポジションだと思いました。
一人では決められなかった転職。背中を押してくれた2人の存在
増田さんの転職に対して、背中を押してくれた方がいらっしゃったようですね?
はい、監査法人時代に一緒に仕事をしたことがあった、株式会社マクアケ常勤監査役の篠木良枝さんと現職の社長です。
転職を考えたときは、監査法人に18年間も勤めていたこともあって、外の世界に出るのに抵抗がありました。その転職の相談を篠木良枝さんに乗っていただきました。篠木さんは経験も豊富で「公認会計士は外に出たらいっぱい仕事があるよ」と背中を押してくださいました。常勤監査役は任期も決まっていて、もし合わない場合があってもすぐには辞められない、責任のある仕事です。だからこそ慎重に選ぶべきだと、会社を選ぶ際に聞いておくべきポイントなどを教えていただきました。
そして社長の人柄も大きかったです。インヴァランスの小暮社長との面談で、私が2人目のこどもも考えていると話したところ「もし2人目のこどもができたら、在宅ワークでもいいよ」と仰っていただいたことはすごく印象的でした。
フレキシブルにプライベートのことまで背中を押してくれるお人柄に触れて、この会社の監査役として就任したいと思いました。また監査役監査にあたっても「公認会計士の視点で監査をしてほしい」と私が培ってきたスキルを求めてくださっていたことも決断のきっかけになりました。
その他に会社選びのポイントはありましたか。
事業内容と成長の可能性があるかがポイントだと思います。また親身になって監査役監査ができる会社かを見るようにしていました。というのも会社が良かれと思って行うことがリスクになってしまう場合が稀にあります。そんなときに少しでも懸念があれば、監査役に相談してくれる人たちかという点も大事だと思います。
また、前任の監査役の退任理由について確認が必要と思いました。私の場合、小暮社長から前任の方の退任理由を伺い、また前任の方から、やってこられたことや会社のリスクの説明などすごく丁寧に引き継ぎをしていただきました。「悩んだらいつでも電話して」と声をかけていただいたのも安心できました。
宅建取得や新卒研修にも出席、新しい業種へのチャレンジ
常勤監査役という立場だけでなく、不動産業界も初めての挑戦だったそうですね。不安なことはありましたか?
不動産業界が初めてだったので、まずは業界を理解しようと思いました。せめてもの知識がないとアドバイスができないので、宅建を取ろうと思いました。
そのおかげで、業界用語や法律に関しても理解できるようになりました。最初はこっそり勉強するつもりでしたが、受験にあたって他の社員と同様に社内制度を使わせてもらうことになったり、また自分の母も宅建を持っていたりして……。
「絶対に落ちてはいけない」とプレッシャーも感じましたが、合格してホッとしました。他にも会社のことを理解するために、新卒研修にも出席しました。中途入社の方も傍聴していたので、新卒社員と一緒に勉強をして会社の全体像を掴んでいきましたね。
勉強に励まれる増田さんをみて、影響を受ける方も多いのでしょうね。従業員の方とのコミュニケーションはどう意識されていますか?
就任した当初はみんな若くてエネルギッシュでびっくりしたのが正直な感想で(笑)。そんなメンバーと一緒にいると、私自身がすごく元気をもらえていることに気づきました。でも立場上「監査する立場」でもあるので、無理に雰囲気に慣れようとはせず、客観的に社内の雰囲気を感じ取ることから始めました。
緊急事態宣言中はオンライン上のやり取りがメインとなったため、働き方としてはいい面もありますが、監査役としては従業員の表情や社内の雰囲気が見えないというやりにくさは感じました。従業員とは過度に接することなく、休憩時間等を使って、人柄やタイプを見ていたため、今は基本的に出社をして様子を見たり、チャットもこまめに目を通して、最低限の状況を確認するようにしていますね。
監査役になられて2年目とのことですが、ご自身で変化は感じますか?
非常勤監査役の選任の過程で何名かの候補者の面談に立ち会ったことがありまして、候補者が2名いるうち直感で「この人がいい」と思った方に対して、会社も同じ候補者を適任と判断をしました。自分と会社の相性があってきたと感じました。
常勤監査役の業務を遂行するにあたって、非常勤監査役との連携も大切なので、その方を選ぶ基準が会社と同じだったことは自信にもなりました。
今でもわからないことは積極的に、経営陣にも従業員にも聞くようにしています。それが自分への自信と会社からの信頼にもなるので、今後も素直にコミュニケーションをしていきたいです。
監査役2年目でも感じるやりがいと志
監査役の仕事でやりがいを感じるのはどんな時ですか?
経営会議等の資料を見て「ここが足りないのではないか」と気づいて伝えたことで、良い方向に変わっていく時は嬉しいです。他にも「他社の状況はどうだろう」という疑問に対して、自分がこれまでに経験してきた事例や、知っている情報が役に立つときは、頑張ってきてよかったと思えます。
監査役は業務執行ができないので、アドバイスはしますが手を動かすことができなくて、ジレンマを感じることもあります。だからこそ、どういう伝え方がいいかは常に自問自答していますし、他の監査役から学んで自己研鑽するしかないと思っています。
そして、従業員や経営陣にとって、なにか角が立つ話題や言いにくいことがあれば「監査役が言ってるから」と悪者にしてでも、うまく監査役を使ってもらえればという気持ちでいます。今後もサポート役に徹しつつ、伝えるべきところは伝える潤滑油のような存在でいたいです。