【LITALICO宗司監査等委員インタビュー】
経営のプロと同様に“監査役”のプロがあってもいいのでは

株式会社LITALICO
取締役(常勤監査等委員)
宗司 ゆかり

 

ダイバーシティの推進により女性の役員登用が意識づけされている近年、監査役にも会計やファイナンスに従事されてきた年長者の男性がほとんどだった過去から、今では女性が増えつつあります。監査をするにあたって、他社の監査役との情報交換が学びの機会となるのがこの世界。女性監査役が男性監査役に学ぶ必要性もある一方で、女性が積極的に学びを深めていくのには勇気がいるという意見も多くありました。

そのような中で、年配の男性監査役と若い女性監査役の架け橋となる方がいます。

株式会社LITALICO(以下、LITALICO)で常勤監査等委員を務める宗司ゆかりさんです。宗司さんは他にも株式会社クエストの非常勤監査等委員を兼任し、また日本監査役協会の常任理事にも任命されています。

宗司さんの視点から監査役に必要な考え方やあり方を中心にお話を伺いました。

最終更新日 2020.10.13
※役職はインタビュー実施日現在のものです。

ダイバーシティや中小規模会社の監査役として日本監査役協会の常任理事へ

現在、日本監査役協会の常任理事をされていますが、就任するまでの経緯を教えてください。

監査役に初めて就任した約7年半前、私はIPO準備をするための当社初の常勤監査役で、監査役スタッフはいませんでした。当時の非常勤監査役から「年上の男性ばかりだと思うけど、実務を理解するためには他社の監査役と情報交換することが重要だよ。そのコミュニティに入る努力をしたほうがいい」とアドバイスをいただいたので、日本監査役協会の実務部会(会員の監査役が相互に研鑽する会)に入り、できる限り出席するようにしました。

常任理事への就任は、おそらく実務部会で幹事をお引き受けしたり、相互の研鑽のために発表を依頼されたら発表したり、できる限り出席して学んでいたので、推薦されたのではないでしょうか。また、日本監査役協会の理事は男性だけではなくダイバーシティであること、大企業だけではなく中小規模会社の意見も取り入れるような理事構成を考えられたのではないでしょうか。

日本監査役協会の常任理事だけでなく、女性監査役の有志の会である「やよい会」の幹事をされていたり、70歳以上で10年以上の監査役経験があることが条件の有志の会の事務局長もされている宗司さん。そのように多方面でご活動されるようになったきっかけはありますか?

何かを依頼されたら「NO」と言わずに挑戦していたことが、きっかけなのかもしれません。女性監査役の有志の会である「やよい会」は、男性比率が多い実務部会に入るのを躊躇される女性監査役の方に参加していただきたいという想いも込めて発足されました。女性同士の繋がりが生まれると、日本監査役協会の実務部会にも参加しやすくなって、学びの機会を増やしていけますから。

お子さんがいらっしゃる方も多いので、子育ての相談をしあえる関係でもありますし、お迎えの時間を配慮しあえたりもします。ホテルのラウンジでティータイムやランチを楽しみながら勉強会をしたり、話しやすい雰囲気の中で交流するのも女性ならではだと思っています。

70歳以上で10年以上の監査役経験があることが条件の有志の会も依頼されたので事務局を担当しています。この会は監査役の現役の方やOBの方がいらっしゃいます。監査の実務を学びあうというより、人生哲学を教えていただくことが多いですね。監査役は人間力も必要だと思いますので、大変勉強になります。

日本監査役協会で学ぶことの意味と価値

まるで男性の年長者と女性の若い世代を繋いでいく、架け橋のような存在なのですね。

年長の男性監査役から学ぶことはとても多いです。人生経験が豊富な分、ものの見方も若い世代にはない魅力を感じます。特に若い女性の監査役はベンチャー企業の監査役に就任するケースも多いのですが、ベンチャー企業の経営陣はエネルギッシュでスピードがある反面、突っ走りすぎることもあるかもしれません。年長の男性監査役はそういった経営陣を落ち着かせながらうまくコミュニケーションを取ってらっしゃる方がいるので、ご人格や人徳からも吸収させていただいています。

日本監査役協会で挙げられているビジョンや課題についてお聞かせいただけますか。

日本監査役協会は公益社団法人で、「わが国の監査役制度の信頼性と有用性を広く内外に掲げ、監査役の使命を高揚し、良質なコーポレート・ガバナンスの確立をもって、豊かなグローバル社会の実現を目指す。」とあります。そのための取組みとして、監査役が職責を十分に果たせるよう活動指針を提示したり、監査役に研鑽の機会を提供したり、コーポレート・ガバナンスのあるべき姿を提言したりしています。

日本監査役協会で勉強することには大変意義があると思います。自力で勉強するとなるとネットや本になると思いますが、それでは実務がよくわかりません。時代によってガバナンスの問題や監査役に求められていくものは変わっていくので、常に最新の情報を日本監査役協会で学び、さらにそこで監査役同士の繋がりを増やすことが監査業務を遂行するうえで非常に重要になってきます。

現在挙げられている課題については個人的意見になりますが、最近新型コロナウイルスの影響で対面で行う勉強会の機会が減っていますので、監査役をどう支えていくかが課題となっていると思います。年長の方々が集まるにはリスクが伴いますし、オンラインだけではこれまでと同等の交流ができない状況です。特に新任の方のサポートをどのようにしていくかが課題なのではないでしょうか。

監査役とは「経営陣と同じ船に乗っている仲間」

たくさんの監査役の方が宗司さんに様々な相談をされていると思いますが、どのようなご相談を受けることが多いですか?

私が相談することの方が多いと思いますが、監査役になって8年目なので少しずつ相談を受けることも増えてきました。

IPOを経験していますのでIPO準備中企業の監査役からIPO対応の監査役実務について、また監査等委員会設置会社の移行も経験しているので監査等委員会の実務を相談されることが多いです。IPOでは監査役も審査を受ける対象なので、いろいろ対応することがあります。監査等委員会も監査役会とはまた異なる実務があります。

宗司さんから見て、監査役という立場はどういったイメージでしょうか?

会社が健全な経営をしているか、し続けているかと見守っていくイメージです。監査役の職務は「取締役の職務執行の監査」になりますが、同じ船(会社)に乗っている仲間として船長(経営陣)が上手に大海原を航海できるよう見守るイメージです。

時には大海原や空を見て航海にトラブルが発生しそう、または発生した時にアラートを知らせる役目もあるかもしれません。船(会社)は大きさも形もいろいろあって、船長(経営陣)もタイプがさまざまですので、その船や船長に合った見守り方があるのではないでしょうか。

そのためにも経営陣がどういう経営をしていて、どうガバナンスをしていきたいのか、監査役の役割をどう思っているのかを知っておく必要があると思っています。

女性監査役の憧れの存在、宗司さんが目指すもの

内部監査出身の宗司さんはどのように勉強されてきましたか?

監査役は公認会計士や弁護士の方が望ましいと思いますが、私はその資格を持っていませんので、内部監査出身として公認内部監査人(CIA)を取得しました。

監査役は内部監査ではありませんが、その知識を得ることはプラスになると思います。その他に監査役の実務に生かせるものがないかと監査役の先輩に相談したところ、公認不正検査士(CFE)を勧められたので、この7月に合格しました。

どちらも資格を保持するために継続的な研修が必要になります。資格は取得して終わりではなく、取得後に継続教育が受けられる方が意義があるかもしれません。資格以外には、今までお話した通り、監査役協会の実務部会や講演会、研修会、有志の会で勉強や情報交換をしてきました。

さらに最近強く感じるのは、1社だけの経験ではなく、複数の会社で監査役を経験することが勉強になるということです。現在、株式会社クエストの非常勤監査等委員にも就任していますが、情報交換ではなく自分の職務として経験するのは勉強になり、ひいては双方の会社の役に立てるように思います。

多方面でご活躍されている宗司さんですが、毎日どのようなスケジュールで過ごしてますか?

朝は少し早めで、5時45分からのモーニングサテライトを見るのが日課になっています。それから家事をして出勤して、監査計画通りに職務を行います。監査役協会の実務部会や研修会、講演会があれば出席します。

それ以外でも監査役が数名集まるランチ会や勉強会に参加することがあります。夜も監査役の懇親会があれば出席します。私はお酒が飲めないのですが、懇親会ならではのお話を伺えることもありますし楽しい時間をご一緒できるので、できる限り参加します(笑)最近はオンラインでやることが多いのですが。

帰宅したらお風呂でビジネス本を読んでいますね。長風呂派で1時間半以上もバスタイム。あとはスポーツを全くしないのですが、体力維持のために朝晩10分以上ずつストレッチや体操をしています。

なんでも時間をきっちり測るタイプで、お風呂も時計を見るし体操も10分以上と測って行っています。職務が監査計画通りとはいえ、地方の往査があったり、様々な会議があったり、勉強会があったりと毎日変化が多いので、自宅ではルーティンを心掛けて心身を整えています。

今後はどのような目標を持ってキャリアを歩まれていかれますか?

LITALICOという社名は日本語の利他と利己を組み合わせた造語ですが、社会の幸せと自身の幸せをつなげる関係性を築くことで、利他と利己の両方を実現する意味が込められています。この社名のように、社会の幸せに役立つような人生を歩んでいきたいですね。

キャリアで言いますと、監査役の先輩の中には80歳の方もいらっしゃいます。何歳になっても社会に貢献できて求められる人物でいらっしゃるので、本当に尊敬しています。そして、経営者にもプロがいるように、監査役にもプロが求められる時代になってくるのではないでしょうか。

監査役のプロを認定する何かがあるわけではありませんが、プロ経営者のように「この人が監査役なら健全で成長する会社だ」と社会・株主・従業員など全てのステークホルダーに思われ、船長である経営陣から信頼される監査役がプロフェッショナルなのかもしれません。

私ももし監査役を続けるのであれば、一歩ずつでもプロ監査役に近づくよう努力したいです。

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