【LATRICO 藤原常勤監査役インタビュー】
海外営業志望から米国公認会計士へ。
予期せぬキャリアが導いた
「スタートアップ監査役」という挑戦

株式会社LATRICO
常勤監査役 藤原 由実

海外営業を志望するも経理部でキャリアをスタートさせた藤原さん。
しかし、そこで取得したUSCPA(米国公認会計士)を武器に監査法人へ進み、現在はスタートアップの常勤監査役として活躍しています。
「監査役は守りの職種に見えて、実はクリエイティブ」そう語る藤原さんに、若い組織の成長を親心で見守る温かな監査役像と、スタートアップ監査役ならではのやりがいについて伺いました。

最終更新日 2026.2.20
※役職はインタビュー実施日現在のものです。

海外営業志望がまさかの経理。予期せぬ配属が導いたUSCPAへの道

これまでのキャリアについてお聞かせください。最初は事業会社にお勤めだったそうですね。

はい、大学卒業後に入社したのは自動車メーカー子会社の商社でした。
学生時代に留学経験があり、海外への関心が強かったので、「海外営業でバリバリ働くぞ!」と意気込んで入社したんです。
ところが、人事の方針で新人は全員管理系からスタートとなり、私は経理部に配属されました。

「海外営業志望なのに?」と最初は戸惑いましたが、同時にそれまで数字や経理には興味がなかったので、「これは勉強しないと仕事が面白くならない」と危機感を持ちました。
そこで、経理の知識を学びつつ英語にも触れられる「USCPA(米国公認会計士)」の勉強を始めたのが、今のキャリアの原点です。

その後、希望されていた海外営業には就かれたのですか。

資格取得後は海外子会社の連結会計を担当することになり、海外を転々としながら会計指導のような業務にも携わりました。
会社自体がとても居心地が良い環境でしたし、「海外を飛び回る」という入社当初の夢を、経理という立場を通して叶えることができ、とてもよい経験を積ませてもらったと思っています。

その業務の中で監査に触れることもあり、資格を活かして経験を積みたいと考え、監査法人(EY新日本有限責任監査法人)へ転職しました。

「第三者」から「当事者」へ。その先で出会った監査役という道

監査法人ではどのような業務を担当されたのですか。

当時の国際部に配属され、主に外資系企業の日本子会社の監査などを担当しました。
US -SOX(内部統制報告制度)導入プロジェクトなどを経験させていただき、監査法人にいる間に子ども2人の産休・育休も過ごし、10年ほど在籍しました。

仕事は充実していましたが、十分に経験したという思いもありましたし、もともと事業会社出身ということもあり、会計監査人として会社の外から見るのではなく、「当事者として会社の内側から貢献したい」という思いが強くなり、転職を決意しました。

そこで監査役になることを考えられたのですか。

いいえ。まだその時は自分が監査役にという発想はなく、ヨーロッパのライフスタイルブランドの日本法人に、ファイナンスマネージャーとして転職しました。
ところが、ここが大変でした。私が入社したタイミングで本社の株主が変わり、本社の経営陣や経理マネージャーが次々と交代してしまったんです。

さらに、ランサムウェア被害でインターネットは使えず、社内データにアクセスできないなどのトラブルも続き、日本と本国の時差の中で対応に追われる日々でした。

当時、子どもが小学校に入学したばかりの「小1の壁」の時期でもあり、この環境で働き続けるのは難しいと悩んでいた時に、元同僚から「監査役という道があるよ」と教えてもらったんです。
その後、ほかで監査役をされている方から紹介いただき、2019年にスタートアップ企業の常勤監査役に就任することになりました。

初めての常勤監査役とスタートアップのリアル

実際に監査役になられて、想像とのギャップはありましたか。

想像以上に「出番が多い」と感じました。
事業会社の監査役というと、経理部長などを務め上げた方が就任され、最終的な結果をチェックするようなイメージがあったのですが、スタートアップは全く違います。
スタートアップは管理部門も手薄で、会社としての「当たり前」ができていないことも多いんです。例えば、本来申請書が必要な社内の手続きが口頭だけで済まされているといったこともありました。
そういうところに積極的に気付いて、基本的なところから説明し、整備の必要性を納得してもらい、ゼロから仕組みを整えていく必要がありました。

それまでのご経験はどのように活かされましたか。

ここで役立ったのが、監査法人時代の「一歩引いた目線」です。
社内の常識に染まりすぎず客観的に問う姿勢や、ヒアリングを通じて会社の状況を理解するコミュニケーション能力は、監査業務の中で培ったものです。

現在のLATRICOは監査役として2社目ですね。こちらを選ばれた決め手は何でしたか。

会社選びのポイントは大きく2つありました。
1つは「事業への共感」です。LATRICOはオンライン診療で美容内服薬をお届けするプラットフォームを展開しており、私自身もユーザーとしての悩みが理解でき、ターゲット層として非常に興味を持てる分野でした。
自分の理解が及ばない分野よりも、ここなら当事者意識を持って取り組めると思いました。

2つ目はやはり、CEO・CFOとの相性です。
面談をした際、非常にスムーズで良いコミュニケーションが取れると感じました。
監査役として私が成すべきと考えることと、彼らが監査役の役割として求めていることが一致したので、この会社の成長にぜひ貢献したいと思ったんです。

現在LATRICOはIPO準備フェーズですね。ご苦労されている点や意識されていることはありますか。

IPOを目指す上では、高い成長性と管理体制の両立が求められます。
監査役としてはガバナンスを強化したいところですが、管理を厳しくしすぎると成長のブレーキになりかねません。
人件費などのコスト意識も持ちつつ、どこまで体制を整えるか、そのバランスが難しいですね。

私は「教習所の教官」のようなスタンスを意識しています。
基本的には助手席で見守りつつ、ドライバーがアクセルを踏むことは止めませんが、ベタ踏みして事故を起こしそうになったらブレーキを踏むように注意しますよね。
それと同じで、会社で行われている議論の推移を見て、経営陣から自浄作用のある意見が出てくれば口出ししませんが、どうしても危ない時に「それは違いますよね」と制する。

大怪我をしない程度の失敗なら、成長のためにあえて見守ることもあります。
子育てにも似ているかもしれませんね。

「守り」の職種に見えて実はクリエイティブな監査役

スタートアップの監査役について、どのようなところに面白さを感じますか。

スタートアップ企業は組織が小さい分、経営の意思決定プロセスを間近で見られるのが面白いですね。
大企業だと結果しか降りてこないこともあるかもしれませんが、ここでは「なぜその決定に至ったか」という議論の過程に関わることができます。

また、会社が成長していく姿を実感できるのも大きな喜びです。
売上の拡大や人数の増加はもちろん、管理面でも「今まで口頭で済まされていたことが、ちゃんと申請書で回るようになった」といった小さな変化に、組織としての成長を感じます。

先ほど子育てに似ているともおっしゃっていましたね。

私自身、年齢を重ねて親になったこともあり、若い経営陣や社員たちが試行錯誤しながら成長していく姿を見ると、まるで親戚のおばちゃんのような心境で「頑張れ!」と応援したくなるんです。
たまに感極まってしまうこともあるくらいです。(笑)

監査役の経験を通じて、ご自身の中で変化や気づきはありましたか。

特に1社目は、初めての常勤監査役だったこともあり、本当に「0→1(ゼロイチ)」を経験したなと感じています。
実はもともと、自分は0→1のような仕事には向いていないのではないかと思っていたんです。

監査法人での仕事は、前任者の手続きや形式を踏襲して進めていくことが多く、自分はそういう仕事が向いているタイプなのだろうと勝手に思い込んでいました。

実際に「0→1」を経験してみて、その自己評価は変わりましたか。

変わりましたね。監査役というと、どうしても「守りの職種」というイメージが強く、クリエイティビティとは無縁に思われがちです。
でも実際にスタートアップの監査役をやってみると、何もないところから仕組みを作り上げていく点で、すごくクリエイティブな仕事だと感じました。
「自分にもこういうことができるんだ」と大きな自信になりましたし、それがこの仕事をやってみて得られた一番の気づきだったかもしれません。

新しいフィールド「スタートアップ監査役」という選択へのエール

今後の展望について教えてください。

まずはLATRICOのIPOを実現させることが最大の目標なので、そこに向けて最大限に貢献していきたいです。
上場したら、上場企業の監査役という未経験の仕事が待っているので、役割を変化させながら、会社と一緒に成長していきたいと思っています。

最後に、今後常勤監査役を目指す方へのメッセージをお願いします。

スタートアップの監査役というキャリアは、まだ一般的ではなく、新しいフィールドだと感じる方も多いと思います。
でも、飛び込む前からあれこれ悩むより、まずは飛び込んでみて、そこで直面する課題にどう向き合うかを悩んだ方が、自分自身の成長につながるはずです。

若い方は挑戦する時期が早いのではないかと迷うかもしれませんが、特にスタートアップの経営陣は若い方が多いので、年齢が近いほうがコミュニケーションを取りやすい面もあるかもしれません。
もし合わなければ極端な話、次の道を探せばいい。
とはいえ、責任ある仕事なので辞めることも簡単ではありません。だからこそ、会社選びは慎重にした上で、ぜひ新しい一歩を踏み出してみてください。

取材・文: 大場 安希子
写真:  田中 有子

       

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