【プロジェクトホールディングス
橋口常勤監査等委員、結城常勤監査等委員インタビュー】
「会社を守り、強くする」 二人の常勤監査等委員の共通する使命感

株式会社プロジェクトホールディングス
常勤監査等委員 橋口 晶子 結城 愛子
※写真は橋口さん(結城さんはリモートでインタビューにご参加のため)

ダイバーシティ経営の重要性が高まる中、異なるキャリアを歩んできた二人の女性常勤監査等委員がどのようにこの職務に向き合い、多様性をもたらしているのか。
今回は、20年の会計監査経験を持つ橋口さんと、IT企業の企画営業職出身の結城さんに、キャリアの転機や監査役・監査等委員という仕事の魅力、そして労働環境を守り、会社をより強くしていくことへの共通した思いを伺いました。

最終更新日 2025.8.18
※役職はインタビュー実施日現在のものです。

監査等委員会も多様性の時代。お二人それぞれのキャリア

本日は共に常勤監査等委員を務めるお二人へのインタビューとなります。
まずは結城さんからご経歴をお聞かせくださいますか。

結城:   大学卒業後、2012年に大手IT企業に就職し、企画営業職として10年ほど勤めました。
働く環境にも周りの方々にも恵まれていたので非常に充実していましたが、子育ての事情でフルタイム勤務が難しくなり、「もう少し柔軟な働き方を」と探していた時に当社の常勤監査役のオファーをいただきました。

2021年のオファー当時、プロジェクトホールディングスはまだ上場前だったこともあり、どんな会社なのか、自分が何をすべきかなど理解しきれていない中、現非常勤監査等委員の方と面談させていただいたんです。
士業ではない私の経歴で務まるのか不安でしたが、「“インテグリティ”(誠実、真摯などを意味する言葉)を持ってさえいれば、必要なテクニカルな知識は後からついてくるから大丈夫」と背中を押してくださり、就任を決めました。
2024年に常勤監査等委員に変わり、現在に至ります。

IT企業の企画営業職からの転身とのことですが、色々な選択肢がある中でなぜ監査役だったのでしょうか。

結城:   大学時代に、過去官民で設立された産業再生機構で活躍されていた方のお話を聞く機会がありました。
大学生の私にとって、不良債権を抱える企業の経営再建を支援するという社会的の意義の大きな仕事がこの社会に存在するということ自体が新たな視点で、その方のお話に深く感銘を受けました。

そんなことがあり、企画営業職に邁進しながらも「ビジネスや経営についてしっかり学びたい」と思い続けていましたし、折に触れ世間などで企業不祥事が起こる話などを耳にするたびに、「会社は健全な内部統制が整備され、社員が安心して働ける環境が大事だ」と感じていました。
その思いが、企業経営の健全性や適正性を担保する監査役という職務をお引き受けしたことにつながっています。

大学時代からの思いが監査役という仕事につながったのですね。
次に橋口さん、ご経歴をお聞かせくださいますか。

橋口:   1991年からあずさ監査法人で5年間勤務しました。
その後、結婚や出産といったライフイベントを経て、中小の監査法人に移り、そこでは15年間、会計監査業務に携わりました。
通算で20年間、会計監査の現場を経験したことになります。
2014年から事業会社で上場準備段階から常勤監査役として参画し、約10年務めた後、任期満了に伴い退任しました。
そして2024年3月、当社の常勤監査等委員に就任しました。

橋口さんはどのようなきっかけで監査役になられたのですか。

橋口:   監査法人時代の同僚から「上場前の会社で監査役を探しているけれどどうか」とお話をいただいたことがきっかけです。
約20年、会計監査を続けてきましたので「そろそろ違うことに挑戦してみたい」という気持ちがありました。
また、下の子どもが10歳くらいになって時間的に少し余裕ができる時期でもあったので、オファーと子育てフェーズの変化が重なる良いタイミングだったんです。

監査役・監査等委員として10年以上のご経歴をお持ちですが、この仕事を始められた時はいかがでしたか。

橋口:   とにかく新しい学びばかりでした。監査役協会に加入し、研修を受けたことで、役割の背景や趣旨、実務の進め方などを体系的に学ぶことができました。
研修では他社の監査役の方々と交流でき、「他ではこういうふうにやっている」という事例も知ることができたので、それを参考に自社に取り入れたりしました。
前任者がいない状況でしたので、手探りで監査調書を作る必要がありましたが、他社の方がフォーマットを提供してくださるなど、非常に助けられました。

初めての業務を一から組み立てるのは大変だったのではないですか。

橋口:   確かに苦労はありましたが、上場準備中の会社だったこともあり、会計監査の経験しかない私にも「ぜひやってほしい」と言っていただけたことがありがたかったです。
「やるしかない」「学びながら進めていこう」と前向きな気持ちで取り組んでいました。

二人の協働体制と常勤監査等委員のやりがい

現在プロジェクトホールディングスは2名の常勤監査等委員を置いていますね。

橋口:   はい。常勤監査役として結城さんが先に就任されていたのですが、それまで監査役設置会社だったのを監査等委員会設置会社に変更するタイミングでガバナンスを強化する方針も打ち出され、私も常勤として参画することになりました。

二人で常勤監査等委員を務める上で、役割分担はどうされていますか。

橋口:   業務をきっちり分けるというよりは、柔軟に協力し合っています。
結城さんも子育て中ですし、私も週5日オフィスに通う働き方ではないので、リモートを組み合わせながらどちらかがオフィスにいるような体制をとっています。
ヒアリングや会議には基本的に二人で参加しますが、私が「こういう話を聞きたい」と相談すると、「それならこの部署、この人に話を聞いてみましょう」と即座に提案し、アポイントやセッティングまで進めてくれます。本当に頼りになるパートナーです。

業務の中で、特にやりがいを感じるのはどのような時ですか。

橋口:   監査の役割は、会社を守り、強くすることだと考えています。
たとえば、不正や不祥事を防ぐために内部統制を整え、労働環境を確認して従業員が健全な環境で働けるようにすることは、会社の基盤を守る大切な仕事です。

内部通報や相談窓口も担当していますし、ヒアリングを通じて従業員の声を直接聞く機会があります。
その声をもとに改善が進み、離職を防ぐことができたり、より良い職場環境がつくられたり、会社としてのリスクも軽減させることができた時「会社を良い方向に導けている」と実感します。

従業員の声を経営に届けることも重要な役割なのですね。

橋口:   そう思います。コンサルティング業務を担う当社の社員は非常に志が高く、仕事と学びの境目がないほど真剣に取り組んでいます。
一方で、その熱心さが長時間労働につながり、体調や生活に影響することもあります。
このため、会社として労働時間の低減に努めたりするわけですが、経営側がその結果を見て「仕事・勉強が足りないのでは?」と誤解しないように、むしろパフォーマンスを上げ、労働環境を向上させるための取り組みだと伝えるようにしています。

そうすることで、経営側の認識もプラスに向き、従業員への発信の仕方も変わってくると思うんです。
監査等委員として第三者の立場から従業員の環境を守るための提案を行い、それが受け入れられた時には大きなやりがいを感じます。

結城さんはどのような時に面白さややりがいを感じますか。

結城:   面白さという点では、経営の現場で色々なビジネスや財務会計、ファイナンス、M&Aなどについてリアルな情報を得ながら臨場感高く学べることです。

やりがいについては、コンサルティングファームという特性上、“人“が会社の大部分を形作るという性質もあり、会社のことをよく知ろうと就任以来、数多くのコンサルタントの方々と面談する機会を持たせてもらいました。
一人ひとりにお話を伺うと、若い方も含めて非常に優秀な人材が集まっていて、大きな志を持って仕事に取り組んでいる姿にはいつも刺激を受けています。そのような方から時に寄せられる意見や相談を元に、ボードメンバーとして会社の意思決定をそばで見ていく中で「もっとこうした方が良いのでは?」と意見や改善点を発信することがあります。

全てすぐに変化が起きるわけではありませんが、1年、2年と時間が経つ中で、少しずつ会社の方向性が良い方へ変わっていくのを実感する瞬間はとても嬉しいですね。
社員の方から「最近こういうところが良くなった」「今こんなことに挑戦している」という声を聞くと、思いを持って伝えたことが何らかの影響を与えられたのだと感じ、やりがいを覚えます。

女性の働き方のこれからと会社における多様性

現状、常勤監査等委員の2名ともに女性ですが、経営の多様性にも影響をもたらすのではないでしょうか。

橋口:   そうですね。世の中を見ると、まだまだ男性ばかりの会社も多い中で、当社の取締役会メンバー7名のうち2名が女性であることは、経営陣の柔軟な発想の表れだと思います。
今後は執行側にも女性の役員が出てくると良いのではないかと感じます。

コンサルタントが中心の会社だからこそ、キャリアのハードルもあるのでしょうか。

橋口:   コンサルタント業務は非常にハードで、女性でもマネージャーまでは昇進している方がいますが、その上となると前例が少ないため、下の世代にとっても「自分には無理かも」という心理的ハードルになってしまうことがあります。
ですから、役員に限らず、もっと自然に女性が活躍できる環境づくりが必要だと思います。

私が社会に出たのは1990年で、男女雇用機会均等法はありましたが、結婚や出産を機に退職する「寿退社」という言葉がまだ残っている時代でした。
今の若い世代の方々には、ライフイベントでキャリアが途切れることなく、長く働き続けてほしいと願っています。

そのためにも、時短勤務や柔軟な働き方、業務の工夫など、会社としてできることを整えていきたいですね。
私個人としてもそうした動きを応援したいと思っていますし、そうした取り組みが、長期的には企業力を高めることにもつながると考えています。

今後こんなふうに仕事をしていきたいとか、やってみたいことはありますか。

結城:   当然ながら、一般的な企業と同じように女性管理職や女性取締役といった社内役員の比率も、今後もっと増えていくといいなと考えています。
当社はベンチャー企業としてまだ社歴は浅いですが、その分制約などなくさまざまなことにチャレンジできる土壌があります。

だからこそ、女性経営者を輩出し、女性が主導する会社を一つ立ち上げてみるといった大胆な挑戦を通じて業界を牽引するくらい変化をもたらすということも、この会社だからこそ実現できるのではないかと思うんです。
もちろん簡単なことではないと思いますが、管理職や役員だけでなく、将来の女性経営者を育てていくことに取り組んでみてほしいと考えています。

橋口さんは今後の展望について、いかがでしょうか。

橋口:   前職の任期満了に伴い次の就任を探していた時期に「自分は何をしたいのか、どんな会社で働きたいのか」を改めて考えたのですが、「女性を応援する仕事がしたい」という結論にたどり着きました。
これから先、家庭を持ちながら働く女性がどんどん増えていくと、壁や問題にぶつかることがあります。そんな時、アドバイスをしたり話を聞いたりするだけでもいいから、女性の力になれたらいいなと思ったんです。

そんな考えのもと、フェムテックなどの健康面から女性を支える会社に「監査役のポジションを探していませんか?」と自分を売り込んだこともありました。
その時はご縁がなかったのですが、私自身もこれまで苦労してきましたから、今後機会があれば後輩の女性たちをサポートするようなことをやりたいと思っています。

お二人とも「女性を応援したい」という共通点があり、とても素敵な展望をお持ちですね。
最後に、今後常勤監査役を目指す女性へメッセージをお願いします。

結城:   私は公認会計士や弁護士などの士業ではないので、その点で監査役・監査等委員が務まるのか不安もありました。
ですが、大手企業で培った経験は、監査等委員として非常に役立っています。

例えば、当社のようなベンチャー企業では、大手ほど細かく整備された仕組みは必要ありませんが、「どのレベルまで内部統制を整えるべきか」「不正を防ぐにはどんな仕組みが要るか」といった視点で、課題を想像したり提案したりすることができます。
また、人事・労務管理・ハラスメント対策など、注意すべき点を事前にイメージしやすいのも、大手での経験があったからこそです。

会社員時代は、整った環境が当たり前だったので、それを意識することはありませんでした。
でも、今の立場になって初めて「あの仕組みはこういう意味で重要だったんだ」と気づくことも多いんです。そのギャップを感じられることはありがたいですね。
会社の仕組みづくりにこういった過去の経験を活かせることが自分の強みにもなっているので、どんなキャリアもこの職務の力になると思います。

橋口さんからも後輩の皆さんにメッセージをお願いします。

橋口:   監査役・監査等委員を目指す道も色々な入り口があるということをお伝えしたいです。
監査役を一社目でいきなり務めるのはハードルが高いという声をよく耳にします。そういう方には、まず内部監査室での経験を積むことをお薦めします。
内部監査を通じて得られる知識や視点は、監査役になるための大きな武器になるからです。
私は会計監査が専門ですが、業務監査の知識も必須だと感じています。
内部監査室は「第三線」として内部統制がきちんと機能しているかをチェックする部署ですが、そこで業務監査を経験することは、その後のための大きな学びになるはずです。

実際に昨年、私の会計士時代の女性の後輩を内部監査室長として当社に紹介し、迎え入れていただきました。
彼女は「とても働きやすい」と言ってくれており、小学生のお子さん達を育てながら、家庭と仕事のバランスもうまく取れている様子です。
「監査役を目指す道はひとつではない。内部監査を経てキャリアを築く道もある」ということを、後輩の皆さんに伝えたいですね。

取材・文: 大場 安希子
写真:  田中 有子

       

CONTACT お問い合わせ

女性監査役をお探しの企業様、また監査役への就任にご興味がある求職者様はフォームに必要事項をご記入の上、お問い合わせください。

お問い合わせ後3営業日以内に担当者より連絡いたします。

当社担当者との面談の機会を頂き、求職者様には監査役の仕事内容や紹介企業の情報等の説明を、求人企業様には求職者のご紹介までの流れをご説明させていただきます。

会社名
氏名
フリガナ
メールアドレス
当サイトを知ったきっかけ
相談したいこと