【フォースタートアップス 小久保常勤監査等委員インタビュー】
経営のライブ感を求めて
- 常勤監査等委員としての新たな挑戦
フォースタートアップス株式会社
常勤監査等委員 小久保 愛子
公認会計士として監査法人で約20年、会計監査からコンサルティングまで幅広い業務を経験し、「経営の意思決定の現場をもっと近くで見たい」と感じた小久保さん。
今年6月にフォースタートアップスの常勤監査等委員に就任され、初めての職務に臨む今、仕事のやりがいや日々の学び、経営の最前線に立ち会える面白さを語ってくださいました。
最終更新日 2025.11.11
※役職はインタビュー実施日現在のものです。
コンサル業務の楽しさ、経営への好奇心が導いたキャリア
これまでのご経歴について教えてください。
大学は私立の文系学部に進んだのですが、母から「時間もあるのだし、資格の勉強をしてみたら」と勧められたことがきっかけで、1~2年の頃からダブルスクールをして公認会計士の勉強を始めました。
母自身が税理士なので、資格を持つことの強みを感じていたのだと思います。大学を卒業した年に合格し、その年の12月に有限責任監査法人トーマツに入所しました。
アルバイトの経験もなく働くこと自体が初めてだったので、「働くって楽しいな」と思いました。
周囲は仕事への意識が高い方ばかりで尊敬できる上司や先輩も多く、会計監査の現場を純粋に楽しんでいましたね。
監査法人ではどのような業務を担当されていたのですか。
最初の10年くらいは会計監査を中心に、後半はコンサルティング業務にも携わっていました。
コンサルティング業務では特に、内部監査やガバナンス体制の整備など、守りの部分を支援する仕事が多く、自分に合っていると感じていました。
会計監査は第三者的な立場からチェックして指摘するというのが主な業務になりますが、コンサルティングはクライアント企業の方と一緒に同じ目標をもってプロジェクトを動かしていく仕事になるので、そういう部分が楽しかったのだと思います。
コンサル業務は監査役・監査等委員の仕事に通じるところがありそうですね。20年近く監査法人にいる中で、思考の変化などはあったのでしょうか。
会計監査を実施する中では、経営トップの姿勢なども重視します。
とはいえ、私たち監査法人のメンバーが接するのは役員であっても社長ではないことが多いので、経営トップがどういう考えを持って意思決定をし、会社を動かしているのかというところに徐々に興味が出てきました。もっと、社長の顔が見える距離で、意思決定のサポートをするような仕事ができたら、また違った楽しさがあるのかなと思うようになったんです。
そうして監査役・監査等委員という職務を意識するようになりました。
常勤監査等委員への挑戦と、フォースタートアップスとの出会い
小久保さんのお話は「楽しい」という言葉が多く素敵ですね。監査役・監査等委員になろうと思われたときにエージェントなどを使ったのでしょうか。
はい。エージェントに登録して話を聞いたり、数社の面接を受けたりしましたが、すでに独立して監査役を務めている監査法人時代の先輩や同期にも話を聞いたりしていました。
フォースタートアップスの話も、監査役をされている元同僚の女性からの紹介だったんです。
「常勤監査等委員を探している会社があるよ」と教えてもらったので、ぜひお話を聞きたいと申し出ました。
フォースタートアップスさんを選ばれた決め手は何でしたか。
エージェント経由で紹介いただいた企業の多くはIPO準備中だったのに対し、フォースタートアップスはすでに上場している会社でした。
就任の決め手としてはいくつかあって、1つには、初めてのチャレンジだったので、上場前の会社でゼロから内部統制を組み立てるよりは、上場企業である程度仕組みが整備された状態から始めたいという思いがありました。
2つ目として、上場しているとはいえグロース市場なので、これからもどんどん成長していくところを支援できるだろうというワクワク感を抱いたこと。
3つ目として、上場企業の方が株主の視線もあり、より緊張感を持って業務に臨めるだろうと考え、チャレンジを決めました。
初めての常勤監査等委員への就任に、不安はありませんでしたか。
就任前に、社長を含め各役員の方々と5~6回面談の機会をいただき、その中で不安は払しょくできたように思います。
面談を通してスタートアップ企業ならではのオープンでフラットな雰囲気も感じられましたし、取締役の皆さんが同世代ということもあり、この方々と一緒にやっていきたいなと思うようになりました。
面談でオフィスを訪れた際に社内も見せていただいたりしたので、そうやって会社の雰囲気を感じ取ることは大事だと思います。
経営の「行間」を感じられる現場、気づきと学びの日々
就任が2025年6月ということで、現在5か月目ですね。実際に働いてみていかがですか。
やはり、「会社理解がまだまだ追いついていないな」と思うことはあります。
フォースタートアップスは複数の事業を展開しており、各ビジネスの成り立ちも違います。
それぞれの事業をどんなマネージャーがけん引してきたのか、どんな取引先とやり取りしてきたのかなど、歴史や背景を知ることで、関係者との会話もより深まる気がします。
表面的な理解で業務はできますが、背景を知ることでより良いパフォーマンスが出せると思うので、今は各事業をより深く理解するように心がけています。
常勤監査等委員としてのやりがいや面白さはどんなところにありますか。
1番は、会社の最新の動向を知れることです。
新規事業の検討や提携の話など、どういう情報が集まって、誰がどんな意見を出して、最終的にどう決まるのか、経営の生の意思決定を見られるのはとても面白いです。
監査法人時代は議事録でしか意思決定の経緯を知ることができませんでした。
行間のない“結論だけ”の世界です。
今はその行間を肌で感じられます。まさにライブ感がある仕事ですね。
日々の働き方についても教えてください。
週2〜3日出社して、残りは在宅勤務です。
オフィスはL字型のワンフロアで、社長や内部監査室長、コーポレート部門のメンバーも近く、全体が見渡せるフラットな環境です。
業務は会議出席や稟議書の確認、役員へのヒアリングや調書のまとめなどが中心ですが、時間的な制約も少ないですし、業務負担もそれほど重くありません。
オンとオフの切り替えはどのようにされていますか。
プライベートな時間はのんびり過ごしていますが、社内に野球好きの女性がいて、よく一緒に球場へ行きます。
就任直後にPCのセットアップをサポートしていただく中で趣味の話になり、たまたま意気投合して(笑)。
気づけばもう6〜7回は一緒に観戦しています。
平日の夜に野球を見に行けるくらい、今の働き方は無理がなく、自分に合っていると思います。
常勤監査等委員の一歩めは、「話せる関係性づくり」から
日々の業務の中で大事にしていることはありますか。
監査法人時代の先輩や同期から、この職務は「一緒に働く人との相性が大事」と聞いていました。
もともとの考え方が合うこともそうですが、丁寧にコミュニケーションを取って相性を良くしていくことも大事だと思っています。
ですから、「話せる関係性をつくること」に努めています。
取締役の方々とも社員の皆さんとも、カジュアルな雑談から仕事の話まで、日々の会話を積み重ねていくことが信頼関係につながると思います。
今後の展望について教えてください。
まずこの1年は、フォースタートアップスの常勤監査等委員としての役務をしっかりと1期全うし回して、研鑚を積みたいと思っています。
その上で、将来的には他社の非常勤監査役を兼務することも検討したいです。また、母の税理士事務所のクライアントを少し引き継ぎ、税務の仕事も並行してやっていきたいと思っています。
中小企業のサポートを通じて、より経営者に近い距離で学ぶことができますし、中小と大企業の両方の視点を持つことが自分の強みになるのではないかと感じています。
最後に、今後常勤監査役・監査等委員を目指す方へメッセージをお願いします。
会社法上の役員の中でも、監査役や監査等委員は特定の役割を持つ、少し特殊な立ち位置です。
業務執行の責任は直接的には負いませんが、会社がうまく回るように仕組みを支える、とても重要な役務です。
ですから、経営の視点を持ちながら会社を見たい、支えたいという好奇心をお持ちの方にはぴったりの仕事だと思います。この会社もそうですが、スタートアップ業界自体が柔軟な気質を持っていて、性別に関係なく、やる気のある方はウェルカムだと思うので、そこにフィットすればきっと楽しめると思います。
興味があれば、ぜひチャレンジしてみてほしいですね。
取材・文: 大場 安希子
写真: 田中 有子