【ツクルバ 西浦常勤監査等委員インタビュー】
「一緒に成長していきたい」と思える会社選びが成功のカギ。
監査役は挑戦と飛躍の舞台

株式会社ツクルバ
取締役常勤監査等委員 西浦 千栄子

常勤を含め3社の監査役として活躍されている西浦さん。
事業・業務への深い理解を目指す真摯な取り組み、常勤監査役という職務の厳しさと醍醐味、そして「どの会社で働くか」の重要性について伺いました。

最終更新日 2025.4.23
※役職はインタビュー実施日現在のものです。

監査法人でのキャリアから独立まで

キャリアのスタートは監査法人だそうですね。

はい。新日本有限責任監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)に入所し、国際部や金融部に所属し、商社、証券会社および外資系企業日本法人などの会計監査を担当しました。
当時は国内の上場企業にJ-SOX法(内部統制報告制度)が適用される時期でもあり、内部統制の構築支援業務などにも携わりました。
8年間勤務した後、出産や育児の期間を経て、自分の公認会計士事務所を開設しました。

当初から独立を目指していらっしゃったのですか。

いいえ。出産当時、待機児童問題が今より深刻で、育休から復帰しようという時に子どもを保育園に入れられなかったんです。
監査法人でも非常にやりがいを持って働いていたので本当は復職したかったのですが、もう少し融通の利く働き方ができるようにと事務所を開設しました。

独立を機に監査役の道に入られたのですね。

はい。初めは知人の会計士 からの紹介で、当時のJapanTaxi株式会社(現GO株式会社)の常勤監査役を務めました。
一言で監査役といっても、その会社のフェーズや規模によって色々な役割があります。
当時の同社は大型の資金調達をするフェーズだったので、一般的な監査役の役割よりも、内部統制の構築をサポートする役割が期待されていました。

初めての監査役。数字の裏側に迫ることで広がる景色

監査役という選択肢はもともとお考えだったのでしょうか。

私がロールモデルとしている女性公認会計士の方が、上場準備中の企業の監査役として活躍されていたことをきっかけとして、監査役という仕事に興味を持つようになりました。
特に、彼女が監査以前に内部統制や会社の仕組みを「作る」という形で関与することにやりがいをもっていると聞き、刺激を受けました。

実際に監査役になられてみて、いかがでしたか。

同じ監査と言っても監査法人の立場からの関わり方というのは、日々の意思決定や業務の積み重ねの結果としての財務数値などを外部の視点からチェックするというものですが、監査役は会社内部の機関としての立場から検証するという違いがあります。
私としては、会計の専門家として社内の色々な方からより深い情報を得ることで、数字に表れている事象の経緯を詳しく紐解くことができたり、会計監査の枠組みにとらわれない領域で事業や業務を理解できたりすることに、監査役の面白さを感じています。
実際にやってみると、監査法人の時に見えていた景色はかなり限定的だったと気づきますし、経営を軸に意思決定の視点や将来の見通しなどを多角的な視野で会社を見られることはとても興味深く、監査役の醍醐味だと思います。

反対に、監査役の仕事に大変さを感じるところはありますか。

特にツクルバのようなグロース市場の企業は成長スピードが速いので、アジリティの高さ、つまり状況の変化を素早く察知して的確な判断を下し行動を変える能力が求められます。
実際に弊社は経営陣の意思決定が速く、1~2か月経つと情報が古くなってしまうこともあるので、私も取締役会や経営会議に出席するだけでなく、そこに参加している役員の方に個別にお話を聞いたり必要に応じてコメントしたりと、変化に対応できるように努めています。
日々MBAさながらのハイレベルなコミュニケーションが行われており、ついていくのが大変ですが、「あの時のこういう目線での意思決定がこの効果に繋がったのか……」などと非常に勉強になっています。

監査役就任における判断軸と会社選び

先ほど、「グロース市場の会社では……」というお話がありましたが、西浦さんは他社の監査役も担当していらっしゃいますね。

はい。現在はツクルバの他に社外監査役を2社担当しており、1社はプライム上場企業のIT企業で、もう1社は上場準備中の建設関係の企業です。
3社それぞれに会社の歴史や組織の文化・風土が異なり、事業フェーズも異なるので、監査役に求められる役割やスタンスにも違いがあり、様々な経験を得られています。

組織の歴史も文化も違うとのことですが、就任を決める上で共通点はあったのでしょうか。

そうですね。監査役というのは株主の負託を受けた非常に責任の重い仕事なので、やはり慎重に判断しており、大事にしていることが3つあります。
1つ目は、経営者の方の誠実性や倫理感が、自分の価値観と一致しているかということです。
2つ目は、管理側のトップの方のリスク意識やその感度がどれくらい高いかということです。
これは監査役業務の中で最も重要なリスク管理において自分と同じ目線に立ってコミュニケーションできそうかという意味で、必ず確認するようにしています。
3つ目は、事業そのものに魅力を感じて、自分が関わって成長させていきたいと真に思えるかどうかです。

経営者の方の誠実性や倫理感を確認するのにどんなことをお聞きになるのですか。

会社を経営する中で一番大切にしていることや経営課題を聞くようにしています。
そのようなことを聞いていくと、例えば従業員への思いやそこに至る背景が分かり、誠実性や倫理観をうかがい知ることができます。
監査役は様々な局面で経営陣にコメントや指摘をする仕事なので、相手側にそれを誠実に受け止める姿勢がないと、いくら指摘しても改善に繋がらないことがあるんです。
そうなると私も仕事をする意味がなくなってしまうので、この部分は重視しています。
この点で弊社は、課題を提起すると早急かつ真摯に対応してもらえるので素晴らしいと思っています。

ツクルバの事業への共感と業務知識の習得

先ほど大事なことの3つ目におっしゃっていた、西浦さんがツクルバの事業そのものに対して魅力に感じたのはどんなところですか。

ツクルバは、中古・リノベーション住宅の流通プラットフォーム「cowcamo(カウカモ)」の提供を主事業とし、これを起点に、デザイン × テクノロジーを組み合わせたサービスを提供しています。
私自身、不動産取引における情報の非対称性、つまり買う側と売る側で情報に格差があると感じていたのですが、それもそのはずで従来の不動産業は売り主に仲介が付くというビジネスがメインだからなんです。
そこに対して弊社は、ライフプランナーのように買い主に寄り添ってサービスを展開しているので、他にはない新しさと魅力を感じました。
また、売ったら終わりではなく住んでいる間も衣食住の「住」であると考え、理想の暮らしを叶えるためのリノベーションやライフステージが変わった際の住み替えまで一気通貫でサポートするというサイクルを生み出しているところにも感銘を受けました。

これまで担当されていたITや建設関係の会社とはまた別な知識が必要になりそうですね。

もともと私には不動産業界の知識がなかったので少々不安もあったのですが、宅建(宅地建物取引士)の資格を取得して業務知識を補うようにしました。
新しいことを学んでチャレンジしたいのはもちろん、社内の皆さんと共通言語で話ができるようにしたいという気持ちもありました。
今後、ほかにも勉強しなければいけないことは次々に出てくると思っています。
例えば、住まいと深く関わる金融領域に事業を展開する時などは、その業務上で必要な統制や管理体制を学ばなければなりません。

宅建まで取られたとは驚きです。

やはり、表面上の動きだけでは見きれないことも多く、例えばトラブルやインシデントが起きた場合に、現場レベルの業務を知らないと真因まで深く追及できないと思うんです。
真因にたどり着かないと適切なアドバイスや改善要望が出せないので、それぞれの事案に深く入り込んでなるべく情報を多く集め、解像度を高くした上でコメントするようにしています。

さらなる成長と挑戦を求めて。今後の展望

今後、ご自身としてはどのようにお仕事をしていきたいですか。

監査役という仕事に非常にやりがいを感じているので、引き続き様々な会社で経験を積みたいと考えています。
日々成長し変化していきたいと思っている私にとって、成長スピードの速い会社で仕事をすることは自己成長にも繋がりますし、自分自身も毎年同じことをするのではなく、去年やってなかったことを今年やってみようとチャレンジしています。
またこの仕事の楽しさとして、様々な見識を持った方々との繋がりができていくということがあります。
経営陣・役員同士で意見交換をする中で知見を広げたり、監査役コミュニティの勉強会などで横や斜めの繋がりを作って、学びを深めたりしていきたいですね。

西浦さんにとって監査役の職務はチャレンジと成長の舞台なのですね。
最後に、今後、常勤監査役を目指す女性へのメッセージをお願いします。

「この会社に寄り添って、この会社のために一緒に成長していきたい」と思える会社を見つけることをお薦めします。
常勤監査役というのは、何か問題が起きた時には最優先でスピーディーに対応しなければいけない厳しい面もあるので、それくらいの思いがないとなかなか乗り越えられないからです。
私は現在監査等委員という立場でツクルバにいますが、この立場でなくても働きたいと思うくらい非常に魅力のある会社だと思っています。
ですから、その会社の一員として貢献したいという意欲を持てることが一番大切かな、と思います。

また、経営陣と共に業務に関わっていくので、時としてその方々に厳しいコメントをしなければならないことも踏まえ、忖度なく本音で話し合える信頼関係を構築できるかも同時に見極める必要があります。
これらをクリアできれば、非常にやりがいがあり成長もできる素晴らしい職務だと思いますので、ぜひ挑戦していただきたいですね。

取材・文: 大場 安希子
写真:  田中 有子

       

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