【インタビュー】
監査役を目指す女性が知っておくべき「監査役の立場と責任」

株式会社Kaizen Platform
常勤監査役
小田 香織

 

これまでご紹介した女性の常勤監査役へのインタビューでは、監査役に至った経緯や、その働き方の魅力についてお話いただきました。

公認会計士という資格を生かしたり、会社員から新しい挑戦として監査役を選んだり、様々な経緯がありますが、女性でも働きやすい環境であると多くの方が仰っていました。

今回インタビューに協力いただいた株式会社Kaizen Platformの常勤監査役である小田香織さんは約8年間、常勤監査役を勤められています。

「監査役という仕事が女性たちのキャリアの選択肢として注目される一方で、その立場や責任も、知っておかないといけないんです。」と仰る小田さんは、監査役の仕事の良い面だけでなく、リスクにも向き合って来られました。

最終更新日 2020.07.30
※役職はインタビュー実施日現在のものです。

「キャリアアップしたくて公認会計士に」監査法人でIPOに携わる

アパレル会社を辞めて公認会計士を目指されたそうですね。きっかけを教えてください。

学生時代に簿記には触れていたのですが、1年ほどアパレル会社で経理をした時に「公認会計士であれば、もっとキャリアアップできる」と思ったんです。公認会計士のキャリアについては無知でしたが、当時から会計士として事業会社に関わっていきたいという思いがありました。

会計士二次試験合格後は事業会社に就職せずに、公認会計士の三次試験で実務経験が必要だったため監査法人に入所しました。監査法人で経験を積んでいくにしても、事業会社と関わって行きたかったのでIPO支援の部署に配属させてもらったんです。

完成されたデータをチェックする基本の会計監査だけでなく、仕事の範囲も広そうだと思い、結果的に2社の上場に携わることができました。当時の監査法人は自由に動かせていただける範囲も広かったので、楽しく働いていました。

監査法人に4年勤めてから、目標だった事業会社にて経理マネージャーをされていたと。そこから監査役になった経緯を教えてください。

はい、株式会社jig.jpで経理マネージャーとしてCFOと一緒にIPO準備作業に取り組みました。監査法人からの経理マネージャーだったので、IPO準備に関する知見は溜まってきましたし、やはりIPO自体にやりがいを感じました。

経理マネージャーをした先のキャリアは、CFOというのが一般的なキャリアプランなのですが、私には両親の介護の問題があったんです。事業会社でのCFOは年収は高いですがその分、業務量も多いので、自分のライフスタイル的に監査役が合ってると思いました。監査役だったら業務時間や量などの自由裁量が大きいので、プライベートとのバランスが取りやすいと思ったんですよね。

当時は人材会社経由で監査役を採用する会社はあまりなかったのですが、偶然にもCFO職のオファーを受けていたIPO準備中の会社が、常勤監査役も募集しているとのことで、そこに決めました。

公認会計士のキャリアとしては、当時は監査法人か独立かCFOというキャリアがほとんどだったため、まさか理想の会社にすぐ出会えるとは思いませんでした。

女性がいない世界で「監査役の振る舞い」についての学び

株式会社オルトプラス(以下、オルトプラス)で常勤監査役になった時は、初めはどのように仕事をされていましたか?

これまでのキャリアでIPOの知見や監査業務について理解していても「監査役としての振る舞い方」は一からの学びでした。

今では女性の監査役の勉強会となれば50~60人集まることもありますが、就任当時は女性の監査役に出会えなかったんです。そのため外部の人に相談することは少なく、書籍を読んだり非常勤監査役に相談することが多かったですね。

当時相談していた非常勤監査役は弁護士出身で、他社の非常勤監査役とも掛け持ちをしていたため、視野も広く経験も豊富で、私はその方への相談や議論が一番勉強になりました。

常勤監査役と非常勤監査役はコミュニケーションをうまく取れない事例もよく聞くのですが、私は運がよかったと思います。

印象的な学びはありましたか?

オルトプラスに入社したとき、私が「従業員にアンケートを取りたい」と非常勤監査役に持ちかけたんです。社内の状況を知るのには、手っ取り早いと考えていました。しかしその非常勤監査役は「監査役がいきなりそんなことをしたら驚かれる」と言ったんです。すごくハッとさせられて、監査役という立場での言動の重さを意識するようになりました。

部長クラスですら、直接話しかけたり、ピンポイントで連絡したりすると緊張させてしまうこともあるんです。直接指摘をしたとしてもすぐに改善できることではないので、役員と相談して「会社としてどう対応するか」を考えます。将来対応すべき課題として認識してもらえたり、代替案で対応できるように提案しています。

常勤監査役と2社の非常勤監査役の兼任

会社のステージによっても社員に対する振る舞い方は変わってきますか?

そうですね。上場前のベンチャーでは人数も少なくて社員との距離も近くなりがちですが、上場後は見られ方も、入ってくる人たちも異なります。

今までの社員は距離が近かったにも関わらず、新しく入ってくる方の監査役のイメージは硬いこともあるんです。会社のステージによっても社員との関わり方や、立ち位置を変化させていく必要性は感じます。

いろんなやり方の監査役がいますが、私は個別のヒアリングはほとんどしないんです。理由は、監査役の業務は取締役の職務執行の監査がメインになるので、従業員への個別ヒアリングだと細かくなってしまうからです。

また、監査役や社外監査役が会社に染まってしまうのも立場上良くないので、空気を読めないくらいがちょうどいいと感じています。

常勤監査役と2社の非常勤監査役を兼任されていらっしゃいますが、兼任しようと思ったきっかけを教えてください。

監査法人でいろんな会社の対応をしていたことが大きいです。前から事業会社で仕事をしたかったのですが、そこだけでなく他でも経験を積みながら知見を広げたかったので兼任しました。

取締役会ひとつにしても、それぞれの会社で全然違いますし、経営者の考え方や発言も人を見ることでの気づきは大きいです。勉強会や人伝えの知識では限界があるので、私は一歩入り込むことで視座が上がりました。

非常勤の会社の出社は月に2回程度なので、スケジュール的にはなんとかなります。対外的には実現できないのですが「もう一社増やしたい」と思っているほどです。

知っておくべき監査役の立場と責任

小田さんが監査役に就任された当初は女性の監査役が周りにいなかったそうですが、監査役として活躍される女性が増えてきた今どのようなことを感じますか?

女性が活躍するステージとして監査役が選ばれるというのは、嬉しい一方で不安も感じます。

監査役の働き方に対して、やりがいや働きやすさがフォーカスされがちですが、訴訟のリスクに対する知識は必要だと思うのです。従業員ではなく守られている立場ではないので、リスクを十分に知った上で決断しなければならないと思うんです。外部に話せない情報も多いので、SNSの扱いも気を付けています。

そうだったのですね、そのようなリスクを回避するためには監査役として就任する時に何を気にすればいいのですか?

経営者が監査役に対してどのように思っているか、ガバナンスのあり方や、監査役の意見を聞いてくれるかなどを、しっかりとみる必要があると思います。実際に会社が監査役を「ただ置けばいい存在」だと思っているケースが多いのも事実です。

またIPO準備中の会社でしたら、すぐ辞めてしまうのはお互いにとってマイナスダメージが大きいので、簡単に辞められるものではありません。そういう事態にならないためにも、業種でなく会社や経営者をしっかりと見ることが大切です。

小田さんは今後どのようなキャリアを描いていきたいですか?

IPO準備は特に体力・精神力を用いて大きなハードルを超える特殊な仕事だと思っています。

二度目の常勤監査役に就任する時も、そのエネルギーが必要だと知っていたので「もう一回!」と意気込んで就任しました。しかしながら私は成長ステージである会社に係ることや、IPO準備自体が好きであって、監査役という職種に強いこだわりはないんです。

今後も監査役にこだわらず、新しいことを経験できる環境にいたいと思います。

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