【freee 内藤監査役インタビュー】
「監査役だからではなくfreeeだから入社しました」二児の母でも自由なキャリア選択

freee株式会社
常勤監査役/公認会計士
内藤 陽子

 

結婚してこどもが生まれたら、仕事どうしようか。

結婚や出産のタイミングでキャリアを見つめ直した女性は少なくないでしょう。結婚して仕事を離れる人も、そのまま継続する人も、転職する人も様々です。

freee株式会社(以下、freee)の監査役である内藤陽子さんは、二児の母でありながら公認会計士として監査法人に13年半勤務し、監査役というキャリアを選びました。

育休で仕事を離れた時は、2~3年休職して子育てに専念することも考えたそう。それでも「仕事は続けるべき」と心を決め、育児と仕事の両方をやり抜き、自分のキャリアを歩み続けています。
内藤さんはどのようにして家庭と仕事を両立させ、キャリアを選択してきたのでしょうか。

最終更新日 2020.07.14
※役職はインタビュー実施日現在のものです。
※新型コロナウイルス対策のため、Web会議ツールを利用して2020年6月5日にインタビューを実施しました。

「監査役だから」ではなく「freeeだから」転職を決意

公認会計士になろうと思ったきっかけを教えてください。

新卒で証券会社の営業をしていたのですが、7ヶ月で辞めてしまったんです。ちょうど就職氷河期だったため、先のキャリアを考えても資格があった方が安心できると思いました。

公認会計士になってからは監査法人に13年半勤めたのですが、主人の転勤の関係で大阪・東京と拠点を変えていたので、新鮮味を感じながら働けました。育休の制度も整っていて、チームにも恵まれていたので、特に不安なく続けてこれたんです。

10年ほど経つと、ひと通りの会計監査をやってきたのもあり、新しいことやりたいなと思い始めました。会計監査だけに捉われず、何か他のことにチャレンジできたらなとキャリアを考えるようになったのがこのタイミングでしたね。

そこからfreeeに転職を決めたのはなぜですか?

金融のクライアントが多かったのもあり、金融業界を揺るがしているFintechという存在が気になっていたんです。新聞などを読んで、今後さらに注目されていく業界だと思っていました。転職を考え始めてから、エージェントを通していくつかお話はいただいたのですが、その中でもfreeeは会社自体に興味を持ちました。

freeeは中小企業をはじめとするスモールビジネスのためのプラットフォームを提供している会社ですが、もともと実家が自営業だったのもあり、中小企業に馴染みもあったんですよね。「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションにも大きく共感しました。

結果的に面接を受けたのはfreee一社のみだったのですが、それは監査役という仕事に惹かれたのではなく、freeeだから入社したいと思えたんです。事業内容にも成長性を感じましたし、経営陣と話しても優秀な方が多く、一緒に仕事をするイメージが湧いていたので、迷いはありませんでした。

実際に監査役に就任して、感じることはありましたか?

監査役の業務については漠然としたイメージしかないまま就任しましたが、実際はこれまでの知見も活かせてよかったと思っています。

監査法人時代は、最終的に数字につながる事を中心に物事を考えてきましたが、その枠を超えてビジネス全体に関わるのは新たな学びでした。法律やFintechに関する情報もたくさんインプットしながら業務にあたっています。経営陣と一緒に企業文化を作っていく立場であるので、幅広い分野を学んで視点を高く持つ必要性を感じています。

「仕事は続けていくべき」決意の末、働きながらワンオペ育児

監査法人時代は旦那さまが単身赴任の時期があり、働きながらワンオペで育児もされていたそうですね。

監査法人で働きながらのこども二人のワンオペ育児は、民間の学童や、送り迎え付きの習い事をうまく使っていました。こどもが小学校に入ると帰宅も早くなり、仕事との両立は難しいとの声もよく聞きます。いわゆる「小一の壁」というものですが、私は外部の力を頼っていました。

freeeに転職を決めたのは、下の子が保育園の年長で上の子が小学校3年生の頃だったんです。当時は結構不安もありましたが、やり方次第でなんとかなるものだと思います。小学校に上がると送迎の必要がなくなるので、転職を考えるにもいいタイミングだったのです。監査法人時代は定時が終わってダッシュでお迎えに行っていましたが、常勤監査役は必要なミーティングがなければ早く帰ることも可能なので、時間の調整はしやすくなりました。

結果的にずっと仕事をし続けていますが、1人目のこどもを産む時は2~3年休職して、落ち着いた頃に他の仕事をしようかとゆるく考えていました。しかしながら当時の上司でもあったキャリア担当の方に「仕事は続けていくべきだ」と言われたのがきっかけで、続けようと決意できたんです。すると11ヶ月の育休をいただいていたのですが、3~4ヶ月した頃にはもう仕事をしたくなっていたんですよね。きっとこれ以上長く休んでいたら、復帰するにももっと腰が重くなっていたでしょう。

仕事と家庭の両立で意識していることはありますか?

どちらも完璧を目指さないことでしょうか。

完璧を目指すと体が壊れて悪循環になるので、最低限のことだけやるように優先順位をつけています。日中はフルパワーで動いて、睡眠時間だけは削らないようにしていますね。仕事も家庭も長距離走なので、瞬発力だけでなく健康第一であることが何よりだと思いました。力の抜きどころもスキルの一つだと思っています。

未経験でも挑戦できる環境がある監査役の仕事

家庭とキャリアに悩んでいる公認会計士の女性に対して、どのようなアドバイスをされていますか?

公認会計士の資格を持ちつつも、仕事から離れてしまう女性は多いと聞きます。それぞれ価値観はあると思いますが、せっかく自分を活かせる知識や能力があるのに眠らせているのはもったいないと思うのです。

私はとにかく何かしら行動してみることをおすすめしたいです。セミナーに行ってみたり、働いている同僚に話を聞いたり、家庭だけの世界から外に出てみるきっかけさえ作れば、必要とされることに気づけると思うんですよね。

freeeの経営陣との面接で「AIが発展したら公認会計士の仕事はなくなるのでは?」と話をしたのですが、私はそうは思わないと答えました。どんなに管理サービスが発達しても、財務諸表には見積もりや判断が反映された数字が記載されることもあり、経営陣と公認会計士のコミュニケーションが求められるからです。

きっと今後はよりコミュニケーション能力が高い公認会計士が求められると思います。特に女性は挑戦してほしいですね。また、働き方や業務の面でも監査役の仕事は女性に合っていると思います。

初めて監査役の業務を進める中でどのようなことを工夫しましたか?

監査役業務はゼロからのスタートだったので、とにかく情報収集と人脈を広げることをしました。特に最初は、社外での人脈づくりに力を入れて、公認会計士出身の女性監査役が集まるグループを紹介してもらいました。

監査役の業務には教科書的なものがないため、日々の監査や業務での困りごと、監査調書の作り方など、具体的なアドバイスをいただける環境は貴重でした。監査役は会社の役員でありつつ独立した立場でもあるので、同じバックグランドがある人たちと情報を共有できるのは、精神的にも仕事的にも助けられましたね。日本監査役協会の会合も積極的に参加しています。

監査役は従業員の味方でも経営陣の味方でもなく、強いて言えば会社の健全な発展のために存在するポジションと認識しています。公認会計士法第一条に記載がある、「公認会計士の使命」に通ずるものがあります。

監査法人にいた時も、監査役となった今でも、独立した立場であることは重要で常に懐疑心を保持することは意識しています。ただし厳しすぎると必要な情報が入ってこなくなってしまうため、話しかけやすい雰囲気を作ってバランスは心がけています。監査役の仕事は孤独だと言われますが、自分はそんなに孤独を感じてはいないんです。しっかり従業員や経営者と会話をして、問題が起きてしまったら非常勤監査役にもすぐに相談します。

今後はどのようなキャリアを考えていますか?

一生何かしら仕事をしていきたいと思っています。監査役や会計にとらわれず、その時々で興味のある好きな仕事をしていきたいですね。パン屋さんや庭師でもいいです(笑)

監査役の仕事は企業活動のすべての領域を把握する必要があって、経営陣とも議論する機会が多いため、学びがあって刺激を感じます。今後も会社の成長に繋がるように行動していきたいです。

       

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