【サイバー・バズ 礒村監査役インタビュー】
会計の外の世界に触れて感じた、強みを生かすキャリア選択

株式会社サイバー・バズ
常勤監査役/公認会計士
礒村 奈穂

 

近年の働き方改革において、「多様な働き方の推進」が注目されるようになった現在。

専門スキルのいる仕事をしていると、没頭するあまり周りの景色を見ることを忘れてしまうという話をよく耳にします。
もちろん専門スキルを持つこと自体が、努力なしには得られない勲章です。しかしながらAIの発達や社会構造の変化によって、その専門分野にだけとらわれることはひとつのリスクだと言われる時代になってきました。

公認会計士の礒村奈穂さんは「いろんな世界をみてきたら」という言葉がきっかけで、会計の世界から飛び出し、コーチングやリーダーシップなど幅広い分野に触れたそう。

そこから「監査役」というキャリアに行き着き、株式会社サイバー・バズ(以下、「サイバー・バズ」)の常勤監査役としてご活躍されている礒村さんは、公認会計士のキャリアをどのように考えているのでしょうか。

最終更新日 2020.06.17
※役職はインタビュー実施日現在のものです。
※新型コロナウイルス対策のため、Web会議ツールを利用して2020年5月15日にインタビューを実施しました。

監査法人で10年勤務。100社のクライアントを抱え4社のIPOの経験

約10年、監査法人ではどのように仕事をされていましたか

10年勤務した中でトータルで100社超のクライアントを抱え、現場に立って会計監査をしていました。とにかく関わる案件が多くて体力的にも辛かったときに「あなたの代わりはいくらでもいるということを理解しなさい」と上司に言われたんです。もし自分が大量の仕事を抱えたまま倒れてしまったら、他人に迷惑がかかるだけだということを、身をもって実感しました。

どんなに頑張りたくても体力やパワー面では男性には劣ってしまいます。だからこそ後進の育成や自分とチームの業務改善をしていかに効率的に仕事をするかを意識して、自分が持っていないものを補うことが必要だと思ったんです。そういうことをしていくうちに、自分の仕事のスタイルが出来上がってきました。

監査法人時代にIPOの経験もあったそうですね

そうですね。実は監査法人のIPOの部署に所属していても、IPOを経験しない人も多いんです。

私の場合は偶然にもたくさん案件を抱えたのもあって、4社のIPOに関わらせていただきました。監査法人という立場から会計監査をしているうちに「あれ?私が行っていることの大半は、監査じゃないな」と思うようになったんです。

チームビルディングが得意でやりがいを感じていたのもあって、自分はどういう価値が提供できるのか、会社の仕組みづくりに関わるにはどうしたらいいのかを考えていました。

「外の世界をみてきたら?」出産を機に転職、公認会計士の資格を生かす選択を

出産を機に転職されたそうですが、きっかけを教えてください。

育休に入る前に「この機会に違う世界を見てみたら?」とお世話になったパートナーに言われて、コーチングやメンタリング、リーダーシップの講演を聞きにいったり、全く知らない世界に触れてみたんです。いろんな分野の方々の話を聞いて、こういう考え方や働き方があるんだと思い、刺激を受けました。今まで会計の世界にどっぷりと浸かっていたので、とても新鮮でしたね。

社会人になって初めて、ゆっくり自分のキャリアについて考える時間ができたんです。それまでの自分は「公認会計士の資格を持っている=監査法人や会計系の職でなければならない」と思い込んでいました。でもよく考えると、公認会計士の資格はキャリアの選択を広げるための資格だったんですよね。自分の強みを作って自由に働くために資格をとったのに、勝手に狭めていたことに気づきました。

サイバー・バズの監査役に決めたのはどのような理由ですか?

一度は業務委託で会計のサポートをすることも考えましたが、会計面だけでなくその他の世界にも触れていみたいと思いました。ちょうどサイバーバズがIPOのタイミングだったのもあり、自分の経験から提供できるものが多いのでないかと思いましたし、経営陣の人柄にも惹かれたのも理由のひとつです。

CFOと社長の面接のときに「監査役として、うちを好きに利用してください。」と言われたのは今でも印象に残っています。自分の思い通りにしようとしない器の大きさを感じました。そういった素敵な会社だからこそ、自分が役員として就任するには覚悟も必要でした。

実は結婚する前は、結婚・出産をしたら転職は難しいのではないかと勝手に身構えていました。でもサイバー・バズは女性が多い会社だということもあり、いち母親でもある立場から経営陣に提言できることもあるのでないかと感じました。

環境を整えてもらう側から、整える側への変化

監査法人と監査役での仕事はどう変化しましたか

監査法人ではクライアントと関係構築をして、理解者であり伴走者として会計監査をしていました。いち従業員であるので、会社の制度やルールは整えてもらっていましたし、恵まれた環境だったと思います。

監査役になってからは、そういった制度やルールを自分が整える側になったのは大きな変化に感じました。ひとつの会社に寄り添って業務や法務、人事など幅広く関わりますし、何が必要なのかを知るために社員とのコミュニケーションも必要になってきます。就任して覚えることもたくさんありましたが、効率化のスキルを活かして自分でスケジュール調整をしていきました。

社内で、会計についての勉強会も実施されているそうですね。

そうですね。監査法人時代は会計のプロフェッショナルとばかり仕事をしていましたが、監査役になって初めて、会計がわからない人たちと仕事をすることになったんです。一方で自分は広告の知識はありませんでした。お互いにスキルの交換をするように、私は広告のことを教えてもらいつつ、月一程度で社員に向けて会計の勉強会をしていたんです。

社員は監査役に馴染みもなかったので、相談されやすい雰囲気づくりは心がけています。コーチングの技術も学びましたし、1対1でランチに行ったり自分からコミュニケーションを積極的に取っています。監査役は初めての業務なので不安もありましたが、経営陣と意見をすり合わせながら一緒に作り上げてきました。

「監査役にヒーローはいらない」自分の強みに気づけた環境

監査役とはどういう仕事ですか?

以前、日本監査役協会の前会長が「監査役にヒーローはいらない」と仰っていたのですが、まさにその言葉を実感しています。監査役は表に出て活躍して、大きな達成感を味わう仕事ではありません。どちらかというと日々の小さいことを積み重ね、信頼関係を築いていくような仕事です。

私はそのような監査役の仕事に出会ったおかげで、社員の声を拾ったり、誰かの不便をなくすよう動くことが得意だということにも気づけました。まだまだ成長途中ですが、どこにでも起こりうる「だれも助けてくれない」を少しでも減らしていくことを目指しています。

今となっては監査法人時代は会社の一面だけをみていたかもしれないですし、公認会計士同士で一緒にいて、自分の強みに気づくことは難しかったと思います。会社のチームメンバーとして経営の中に入って、新しい環境で素敵な方々と出会えたことで、視座が上がりました。

育児との両立と今後についてはどう考えていますか?

責任ある仕事である上に育児もしていると、両立はどうですか?と質問もよくされますが、両立は、限られた範囲でどちらを選ぶかというトレードオフではなく、シナジーにもなると思います。でも仕事で学んだことは育児にも生きてきますし、逆も然りです。

監査役や公認会計士としての今後のキャリアはまだ模索中ですし、プライベートで一度は海外に住んでみたいと思っているくらいですね(笑)人によって大事にしたい価値観は、キャリアも仕事もそれぞれあると思うので、どんなキャリアを描くにしても「自分がどうしていきたいか」を考えて、選択肢を並べて、自由に決めていこうと思っています。

若輩者ではありますが、いただいたご縁を大事に様々な方々と関わりながら、アップデートしていきたいです。

       

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