【ナイル大村監査等委員トピックス】
常勤監査役と非常勤監査役兼任のススメ

ナイル株式会社
取締役(常勤監査等委員)/公認会計士
大村 尚子

PJOエグゼクティブサーチのトピックスは、これから監査役にチャレンジする方にとってより役立つコラムにするため、現役で活躍されている女性監査役に執筆していただきます。

今回の執筆者はナイル株式会社取締役(常勤監査等委員)の大村尚子さんです。

常勤監査役と非常勤監査役を兼任される方、また希望される方は多いです。大村さんも昨年から非常勤監査役を兼任されています。以前大村さんにインタビューをさせて頂いた際、兼任することについて、
「2つの会社の経営に関わることは、その会社の強み、社員が持っているスキルも事業内容も全く違うので、学びが多いです。」
とおっしゃっていました。

今回は、兼任するのってどうなんだろうと思われている方、またこれから監査役にチャレンジしようとしている方にもわかりやすく、兼任のススメというテーマで執筆していただきました。

最終更新日 2020.12.16
※役職はインタビュー実施日現在のものです。
※大村尚子さんインタビュー記事「こちら

常勤と非常勤の共通点・相違点

監査役会・監査等委員会の最大の任務は、取締役の職務の執行を監査して、最終的に監査報告書を作成し株主総会で監査報告をすることです。そのための監査手続を常勤・非常勤で担当することになります。なお、会社法上、監査等委員会については常勤者の選定は必須ではありません。以下では、監査役会設置会社を前提にお話しします。

常勤・非常勤に関わらず、監査役は取締役会への出席義務があります。それ以外にも取締役が適正に職務執行しているかを判断するために、経営会議やその他の社内会議への出席、役員や社員との対話や関連書類の閲覧等を通じて日常的な情報収集を行う必要があります。

非常勤監査役が日常的に監査を行うことは時間的な制約があり困難なケースが多いですので、多くの手続きを常勤監査役が担うことになります。そうなると、常勤と非常勤の間に情報格差が生まれてきます。

就任にあたって気をつけるべきこと

非常勤役員への情報提供は十分か? 情報格差を減らす工夫

取締役・監査役は法的に大きな責任を負っています。

非常勤者がその責務を安心して果たすためには、常勤監査役がしっかりと監査を行うことはもちろんですが、会社から十分な情報提供が行われる必要があります。これは、非常勤監査役に対してだけでなく、社外取締役に対しても同様です。

常勤監査役は、監査手続の内容や監査を通じて発見した課題を監査調書にまとめ、監査の状況を毎月の監査役会で共有します。しかし、それだけでは非常勤者が会社や事業の状況を理解し、取締役会における決議事項に対して適正に判断するには十分とは言えません。

常勤監査役が情報提供する以前に、業務執行サイドから適時に必要十分な情報提供が行われていることがあるべき姿です。常勤監査役から執行サイドに「この決議事項に関する資料、もう社外役員へ共有しました?」と確認をしたり、社外役員から「毎月の定例報告にこの項目を追加してほしい」とリクエストすることも有効です。

非常勤だからこそ気付けること

常勤で監査をしていると、会社の内情を深く理解することができますが、よくも悪くも慣れてきます。私もあえて「慣れない」「現状を良しとしない」「健全な懐疑心を持つ」よう心がけていますが、当然のことを非常勤監査役に指摘いただき「はっ」とすることもあります。

非常勤ですとそこまで内情が解らないからこそ、新鮮な目で見ることができるし、客観的・批判的な立場で物事を捉えることもでき、疑問も投げかけやすいと思います。

「ここぞというときは非常勤監査役から物申す」というのも、よくある役割分担の方法だと思います。

新鮮な視点を持ち続けるために。常勤・非常勤兼任のススメ

常勤監査役が新鮮な視点を持ち続けるための方法の1つが、他社の非常勤監査役の兼任だと思います。

まさに、「うちの常識はよその非常識」で、取締役会の報告資料ひとつとってみても、会社によって異なります。もちろん、会社が直面している課題やその解決方法、経営戦略とそれを実行する組織体制など、他社の状況を知ることは非常に勉強になります。

他社との比較で自分が常勤監査役として関わる会社に対する新たな課題の発見につながることもあります。

非常勤監査役になるには?

役員の就任は、常勤、非常勤に関わらず知人からの紹介というケースが多いと思います。

公認会計士であれば、日本公認会計士協会でも社外役員紹介制度がありますので利用可能です。

私の場合は、常勤監査役を務める会社で監査役協会に入会をしており、そこの人材バンクにも登録していました。私の登録内容を閲覧した当時上場準備中の別の会社の人事担当の方から連絡をいただき、数回の面談を経て、非常勤監査役に就任しました。
また、人材紹介会社経由の就任もあるようです。人材紹介会社を通すと、直接聞きにくい報酬などの条件面の確認をしやすく、自分の希望によりマッチした会社選びが出来ると思います。

いずれの場合も、実際の就任までにはそれなりの時間がかかると思います。非常勤監査役の兼任に興味があることを知人に伝えておいたり、今すぐに就任するつもりはなくても、人材バンクや人材紹介会社に登録しておくと良いと思います。

非常勤監査役を引き受ける際の注意点

まず、同じ業界に属する競合企業の役員を兼任することは、情報保護の観点から難しいと思います。

また、常勤を務める会社のフェーズによっては、常勤監査役が他社の仕事を兼任することが許容されないケースも考えられます。

IPO準備をしている会社の場合、常勤監査役が「常勤」していることが求められます。「常勤」の定義はどこにも明確に定められていませんが、上場審査時には週4日程度、その会社の仕事をしていることを意味しているようです。とはいえ、非常勤監査役の場合は、通常は月1回の監査役会と取締役会に出席し、年1回の株主総会に出席するだけですから、1~2社程度の兼任はそれほど難しいことではないですし、常勤監査役の仕事にそれほど影響しないと思います。

いずれにしても就任前に現在常勤を務める会社と、IPO準備会社であれば主幹事証券会社にも確認しておくべきでしょう。

また、女性の場合は、なぜその会社が女性役員を求めているのか?女性役員に何を求めるのか?を確認したほうが良いと思います。

「女性役員比率の目標達成のためだけに仕方なく」という会社や「取締役会では発言してくれない方が望ましい」という会社もまだあるようです。さすがにそう正直に話す会社は無いと思いますが、面談していれば何となく伝わってくるものです。

終わりに

非常勤監査役とはいえ、兼任できる社数には限りがあります。貴重な人生の時間を使うことになるのですから、自分がその仕事を通じて実現したいことと会社が求めることの乖離が大きいと、やりがいも生まれない、とにかく自分自身がハッピーではありません。

仕事を通じて自分自身が幸せを感じることができて、その結果、色々な会社の成長に貢献できて、その会社に関わる人達の幸せの実現にも少しばかり貢献できる。そこが役員を兼任することの魅力だと思います。

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